研究課題/領域番号 |
25630340
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
石崎 貴裕 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50397486)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マグネシウム / 二次電池 / 全固体 / 界面制御 |
研究概要 |
平成25年度は,(1)低温フラックスコーティング法によるMgCo2O4(MCO)結晶層およびMgMnO2(MNO)結晶層の集電体上への直接形成技術の確立,(2)低温フラックスコーティング法によるMg3.5La3Zr2O12 結晶層の直接形成に関する研究開発を行った。(1)低温フラックスコーティング法によるMCO 結晶層およびMMO 結晶層の集電体上への直接形成技術の確立では,水熱合成法とフラックス法を併用することにより,MCOおよびMNO結晶をAl基板上へ直接形成するための作製条件を探索し,これらの結晶を形成することに成功した。しかし,作製した結晶層は,基板全体では,単相ではなく不純物相も混入していた。また,作製した場所によっては,化学量論組成から大きく外れていた。これは,水熱処理時の前駆体形成に対する不均一性が原因であると考えられる。また,作製したMCO結晶を正極材に,有機溶媒を液系電解質に,Mgを負極材に用いて電池を構築し,その電池性能を評価した。その結果,充電および放電することを確認できたが,充電に要する時間が長いことを明らかにした。これは,Mgイオンの拡散に時間がかかることが要因であると推察される。(2)低温フラックスコーティング法によるMg3.5La3Zr2O12 結晶層の直接形成では,フラックス法と水熱合成法の併用によりMg3.5La3Zr2O12 結晶の育成を試みた。その結果,この結晶相を形成することに成功したが,不純物相である結晶も育成されていた。今後は,単相のMg3.5La3Zr2O12 結晶層を育成するための条件最適化を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,(1)低温フラックスコーティング法によるMgCo2O4 結晶層およびMgMnO2 結晶層の集電体上への直接形成技術の確立,(2)低温フラックスコーティング法によるMg3.5La3Zr2O12 結晶層の直接形成に関する研究開発を行った。(1)低温フラックスコーティング法によるMCO 結晶層およびMMO 結晶層の集電体上への直接形成技術の確立では,フラックス法を利用することにより,MCOおよびMNO結晶をAl基板上へ形成するための作製条件を探索し,これらの結晶を形成することに成功した。また,この結晶層を正極材に用いた電池を構成し,その電池性能を評価した。 (2)低温フラックスコーティング法によるMg3.5La3Zr2O12 結晶層の直接形成では,フラックス法と水熱合成法によりMg3.5La3Zr2O12 結晶の育成を試みた。その結果,この結晶を形成することに成功したが,副産物的な結晶も育成されていた。今後は,単相のMg3.5La3Zr2O12 結晶層を育成するための条件最適化を図る。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、(1)低温フラックスコーティング法によるMgCo2O4 結晶層およびMgMnO2 結晶層の集電体上への直接形成技術の確立,(2)低温フラックスコーティング法によるMg3.5La3Zr2O12 結晶層の直接形成,(3)自己組織化単分子膜を用いた電極/電解質界面制御技術の開発,(4)MIB 電池の構築と性能評価,に関する研究開発を行い,MIB 電池の創製と性能評価を行う。 (2)低温フラックスコーティング法によるMg3.5La3Zr2O12 結晶層の直接形成および(3)自己組織化単分子膜(SAM)を用いた電極/電解質界面制御技術の開発 初年度に確立したフラックス法の育成条件を用いてフラックスコーティング法により,MCO あるいはMMO結晶層上にMg3.5La3Zr2O12結晶層の直接形成を試みる。正極と電解質の界面形成には,自己組織化単分子膜を利用する。MCO あるいはMMO 結晶上に反応性官能基を有するSAM を被覆し,その反応性官能基とフラックス内の電解質結晶の種となる溶質イオンを配位結合させ,加熱処理により,電解質の結晶化を行うとともにSAM の除去を行うことにより,界面の形成を行う。SAM の加熱処理により、数nm のカーボン系材料が界面に形成され,電子伝導性を高めることができる (4)MIB 電池の構築と性能評価 電解質と負極の界面形成には,2 種類のSAM を用いる。1 つは固体電解質に吸着可能なSAM,もう1 つは,負極材であるMg あるいはMg 合金に吸着可能なリン酸系あるいはカルボキシル系のSAMを用いる。作製したMIB 電池の充放電特性,レート特性,エネルギー密度を,電気化学的測定装置を用いて評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
作製した固体電解質の電気化学インピーダンス測定を行うためには,固体電解質のペレットを作製する必要があり,ペレットを作製するためには,プレスを使用する必要がある。このプレスを購入するために,次年度に前年度予算の一部を補填する必要が生じたため。 平成26年の6月までに,プレスを導入する。
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