本研究ではマイクロカプセルの更なる機能化を探求する目的で,「無電解めっき反応」に着目し,マイクロカプセル上への金属結合された層の構築を目指してきた。様々な界面での無電解めっき反応機構の実験結果から,表面における金属触媒の担持が極めて重要であり,スズを用いてパラジウム触媒を効率良く担持できれば,様々な界面への金属めっき膜の導入が可能であることが明らかとなった。 無電解めっき反応機構が明らかになった結果,当初の目標であった液液界面や気液界面への直接金属膜の導入は,本研究期間内に実現することができなかったが,得られた知見から,今後それらの界面に高効率でパラジウム触媒を析出担持する手法の可能性を見いだすことができ,本研究期間終了後でも,液液界面や気液界面への無電解めっき反応を継続して研究することとした。 一方で,無電解めっき反応条件を検討してきた結果,溶液pHの制御によって無電解めっき反応によって生じるニッケル粒塊のサイズが変化し,それにともなって磁気特性も制御できることが分かった。これによって,無電解めっき反応によるマイクロカプセルへの磁気特性の付与が可能になり,当初予定していなかったマイクロカプセルの機能化を実現することができた。
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