本研究では気泡塔に関する技術を発電に応用することを目的として、気泡によって誘発された液体の上昇流により、発電が可能かどうかを調査した。気泡塔は直径0.23m、高さ5.5mであり、本設備では、マスフローによる気体流量操作と電磁流量計による液体流量計測が可能である。駆動流体として、液体には水道水、気体にはコンプレッサで加圧した空気を使用する。最終年度には、気泡塔の吹き込みガス流量と、上昇する液の速度を調べた。その結果、最大液上昇速度約3 m/sを達成し、プロペラの設置による流量の低下が無いことを確認した。プロペラ設置部には、上部タンクからの気泡のキャリーアンダーが若干生じることが分かったが、上部タンクの構造を改良し、空気の排出経路を見直したところ、キャリーアンダーを減少させることが出来た。 また、高速ビデオカメラでプロペラの回転を撮影し、回転数とガス流量および液流速との関係式を得た。この結果、プロペラの回転数は上昇液流速の二乗に比例することが分かり、これは発電を行うためには、十分な回転数であることが分かった。 これらの研究を通じて、高さ5.5mの気泡塔を用いて、圧縮した空気を管内に吹き込むことで循環流を起こし、設置したプロペラを回転させることで発電が可能であるとの見通しを得た。このことから、気泡塔を用いたスマートグリッド装置の開発の可能性を示した。本研究では測定することが出来なかったプロペラの軸トルクと発電量を計測することが今後の課題である。
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