酸素分子を酸化剤として温和な条件で選択的に酸素官能基を有機化合物に導入する反応は、有機合成上の大きな課題である。本研究では酸素分子を直接に有機化合物に導入するのではなく触媒サイクルにおける再酸化剤として用い、求核剤に含まれる酸素原子が含酸素化合物の酸素源となる、高選択的な酸素官能基導入反応を開発した。 Pd触媒を用い溶媒にDMA(N,N-ジメチルアセトアミド)を用いる系は、従来のWacker-Tsuji反応に比較して末端オレフィンだけでなく内部オレフィンまでも基質に用いることが可能になり、各種のケトン類を簡便に合成できた。さらに官能基をもつ基質への位置選択的な酸素官能基の導入までを実現した。
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