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2013 年度 実施状況報告書

ウェットプロセスを用いたサブナノ金属クラスターの自在サイズ制御

研究課題

研究課題/領域番号 25630368
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関大阪大学

研究代表者

水垣 共雄  大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50314406)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードサブナノクラスター / デンドリマー / 触媒 / パラジウム / ナノ反応場
研究概要

本申請課題研究では、ナノ空孔を有するカプセル状高分子であるデンドリマーを用いてウェットプロセスにより、1nm以下のサブナノスケールで構成原子数を精密に制御した種々の金属クラスターを作り分ける精密合成法の開発を目的とした。本年度は、①デンドリマー内部に取込Pd(II)イオン数や還元条件を制御することで、1nm付近のPdクラスターの選択的合成を行った。また、平成26年度計画としていた② Rhカルボニルクラスターを前駆体とするRh5カルボニルクラスターの調製を行った。さらに、③デンドリマー内部へのCu錯体種の固定化と触媒反応への応用を検討した。
① Pd(II)イオンの取込方法および、Pd水溶液とデンドリマー溶液との攪拌、抽出法を再検討し、新たに逐次添加による精密なクラスター調製を行った。これらの調製したPdクラスターは高輝度放射光施設を利用したX線吸収微細構造解析によるクラスターサイズの検討を行った。また、逐次添加法によりサブナノからナノ領域でクラスターサイズを精密に制御できると期待される結果が得られた。
② Rhカルボニルクラスターを用いCO及び水の存在下、デンドリマー内部でRhカルボニルクラスターアニオンの選択的合成に成功した。プロトン化された骨格内部アミノ基をカウンターカチオンとするデンドリマー内部でのクラスターアニオンの生成はこれまでに報告がない。生成したRh5クラスターは、in situ でのIR分析及びESI-MSにより同定した。本法は種々の遷移金属クラスター錯体が知られており、デンドリマー内部での相互変換を利用したクラスターサイズの精密制御法として極めて有望である。
③ Cuイオンを内包したデンドリマーによる選択的炭素-炭素結合形成反応の開発に成功した。デンドリマー内部で近接したCu種を形成することで高効率・高選択的な反応が可能なることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究成果概要に述べたように、①Pdクラスターおよび②Rhクラスターの2点についての成果が得られた。当初計画に挙げたPdクラスターについては、調製法の検討は順調に進んでおり、XAFSや質量分析による解析に着手しているが分析法を確立するために条件検討を行っているため、触媒反応の検討は次年度の課題となる。一方、平成26年度計画に掲げていたPd以外の元素を用いたサブナノクラスター合成では、Rhクラスターの選択的調製法に成功した。また、Rh種については、赤外分光法や質量分析による解析に成功し、触媒反応への検討を行っている段階である。また、③デンドリマー内部へのCu種の取込みに成功し、高選択的な炭素-炭素結合形成反応の触媒となることを新たに見出した。したがって、総合的に見て研究課題はおおむね順調に進行していると考えている。

今後の研究の推進方策

当初計画で平成25年度に行う予定であったPdクラスターの触媒反応性の検討へと展開する。現在検討中である質量分析およびXAFS解析を行い、最終的には高分解能STEMによる観察を行う。触媒反応に関しては水素化、H-D交換などを検討する。すでに成果のでているRhクラスターについては、引き続き触媒反応検討を行う。また、当初計画どおりRhクラスターのサイズ選択的調製法の確立と他元素とくにRuやFeクラスターの調製と触媒反応性の検討を行う。
質量分析や赤外分光法、触媒反応性評価は、既存の設備を用いて行う。XAFS実験については、高輝度光科学研究センターの利用、高分解能電子顕微鏡は、本学超高圧電子顕微鏡センターの設備を借用する予定である。最終的な高分解能HAADF-STEM観察については外部への分析依頼を予定している。

次年度の研究費の使用計画

本年度予定したPdクラスターの触媒反応性評価を次年度に行うことにしたため、触媒反応性評価に用いる試薬、同位体ガス、分析用ガスなどの消耗品購入費用を次年度へと繰り越した。また、クラスターサイズの最終確認用の高分解能HAADF-STEM観察については外部への分析依頼費用が本年度は不要となったため、次年度使用額が生じた。
触媒反応性評価に用いる、試薬類、同位体ガス、分析用ガス、高分解能TEM観察用グリッドなどの消耗品を購入する。また、クラスターサイズの最終確認用の高分解能HAADF-STEM観察については外部への依頼分析を行うが、これらの実験は次年度のできるだけ早い時期に行い、それに伴い繰越金額を使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Regioselective Oxidative Coupling of 2,6-Dimethylphenol to Tetramethyldiphenoquinone Using Polyamine Dendrimer-encapsulated Cu Catalysts2013

    • 著者名/発表者名
      Zen Maeno; Motohiro Okao; Takato Mitsudome; Tomoo Mizugaki; Koichiro Jitsukawa; Kiyotomi Kaneda.
    • 雑誌名

      RSC Advances

      巻: 3 ページ: 9662-9665

    • DOI

      DOI: 10.1039/C3RA41817K

    • 査読あり
  • [学会発表] デンドリマー内包銅触媒を用いたジメチルフェノールの位置選択的な酸化的カップリング.反応

    • 著者名/発表者名
      前野禅; 岡尾基弘; 満留敬人; 水垣 共雄; 實川浩一郎; 金田清臣
    • 学会等名
      第46回酸化反応討論会
    • 発表場所
      筑波大学(茨城県)
  • [学会発表] Size Selective Synthesis and the Catalytic Properties of Subnano Palladium Clusters Using Core[poly(propylene imine)]-shell[poly(benzylether)] Hybrid Dendrimers.

    • 著者名/発表者名
      Tomoo Mizugaki; Takayuki Kibata; Zen Maeno; Takato Mitsudome; Koichiro Jitsukawa; Kiyotomi Kaneda
    • 学会等名
      8th International Dendrimer Symposium (IDS8)
    • 発表場所
      マドリッド(スペイン)
  • [学会発表] Development of Polyamine Dendrimer-encapsulated Cu Complex Catalysts for Regioselective Coupling Reaction of Dimethylphenol to Diphenoquinone.

    • 著者名/発表者名
      岡尾基弘; 前野禅; 満留敬人; 水垣共雄; 實川浩一郎; 金田清臣
    • 学会等名
      第4回触媒科学研究発表会
    • 発表場所
      徳島大学(徳島県)
  • [学会発表] Rh錯体内包ポリアミンデンドリマーと固体酸を用いたone-pot触媒反応系の開発

    • 著者名/発表者名
      露崎貴宏; 前野禅; 満留敬人; 水垣共雄; 實川浩一郎; 金田清臣,
    • 学会等名
      第2回 JACI/GSCシンポジウム(第13回 GSCシンポジウム)
    • 発表場所
      メルパルク大阪(大阪府)
  • [図書] デンドリマーを用いたナノ触媒反応場の設計と触媒反応事例/触媒の設計・反応制御 事例集2013

    • 著者名/発表者名
      金田清臣; 水垣共雄; 満留敬人; 實川浩一郎
    • 総ページ数
      80-89
    • 出版者
      技術情報協会

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公開日: 2015-05-28  

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