曲げたプラスチック製光ファイバを用いた物質界面,屈折率(物質変化モニタリング,バイオケミカルセンサへの展開),分光スペクトル計測への挑戦を目指し,平成25年度においてはセンサ部の再現性と基本性能試験を実施した。小型万力による非加熱での細工,φ1.5㎜のファイバ,曲げ幅5~7mm ,ファイバ固定法や光源と分光器の安定化条件などを加味し,スクロース0~0.5およびNaCl 0~4.0Mの水溶液について光の減衰率と物質量との関係を調べた。その結果,ランバートベール則に準じた情報が取得できた。 平成26年度では,バイオケミカルセンサへの展開および分光情報取得への挑戦を試みた。植物細胞培養系(複雑系かつ初発糖濃度0.01M程度がさらに細胞に消費される時系列系)への展開により実用化への問題抽出・解決法を検討した。光の減衰が僅かな濃度域において,ファイバ2本(対照と試料)とフォトダイオードで微弱な光量差を検出し,オペアンプを用いて作動増幅する回路を試作した。培養液中の糖濃度変化が生物反応速度論に基づくロジスティック曲線で捉えられ,速度パラメータの算出が可能なバイオケミカルセンサが構築できた。食品・医薬品製造,排水処理などのバイオプロセス計測制御への応用が期待できる(日本食品工学会2015年次大会にて発表予定,論文執筆予定)。 さらなるセンサの拡張を目指し,相互膜集積法によりファイバ曲部に環境応答物質(色素)の固定化を試みた。色素の状態変化を検出するために上記のような工夫が必要であり,それは保留・今後の課題とした。最後に,曲げたプラスチック製光ファイバを用いたスペクトル計測に挑戦した。メチレンブルー(青)とローダミンB(赤色+蛍光)の色素溶液について,その特徴を良く捉えたスペクトルが得られた。バイオケミカルセンサの拡張性とともに,スペクトル測定器としての応用可能性も示された。
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