研究課題/領域番号 |
25630380
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
丸山 達生 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30346811)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 超分子 / ガン細胞 / 自己組織化 / ペプチド脂質 |
研究概要 |
当該年度は、ガン細胞分泌酵素であるMMP-7に応答してゲル化(自己組織化)する超分子ゲル化剤前駆体を合成し、これをマウスとヒトのガン化細胞に対して投与したところ、ガン細胞の死滅を誘導可能であることが判明した。細胞死は、MTTアッセイとLive/Dead染色という異なる二つの方法で確認した。この細胞死は、前駆体濃度依存的であり、前駆体の分子構造を変化させると細胞毒性が低減した。死滅した細胞を分析した結果、超分子ゲル化剤前駆体が分解し、超分子ゲル化剤の状態で細胞内に取り込まれていることが判明した。これらの結果から、ガン細胞が分泌する酵素により超分子ゲル化剤前駆体が超分子ゲル化剤に変換され、これが細胞内に取り込まれ、細胞内で自己組織化することによりガン細胞の細胞死を引き起こしていることが強く示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の成果に基づいている。 ・ガン細胞の死滅が達成でき、また正常細胞に対する低毒性が実証できた。 ・ガン細胞により、超分子ゲル化剤前駆体が分解し、超分子ゲル化剤が生成している証拠が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
・超分子ゲル化剤の細胞内輸送と細胞殺傷メカニズムの解明 現在、細胞死を引き起こすメカニズムは次のように考えている。超分子ゲル化剤前駆体が酵素(MMP)により加水分解され、超分子ゲル化剤に変換される。これが細胞内に浸潤、細胞内でナノファイバーを形成し、これが細胞の生命機能に損傷を与え、細胞死が引き起こされると考えている。この仮説を実証するために、HPLC分析、LC-MS分析、NMR測定、MALDI-TOF/MS分析, ESI-MS分析、Cryo-電子顕微鏡観察、共焦点顕微鏡観察、ゲル化剤の同位体標識を行う。 ・正常細胞とガン細胞が混在する中での選択的細胞死 ガン細胞と正常細胞が混在する系でガン細胞のみを選択的に殺傷可能であることを実証する。特に、ガン細胞分泌酵素により生じた超分子ゲル化剤および切断断片ペプチドが、系中の正常細胞に悪影響を及ぼさないことを確認する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究計画および研究進捗が予定からずれたため。 主に、物品費費および旅費として使用する。
|