前年度の成果をもとに、本年度は引き続き酸化還元酵素の反応における条件検討及び通電が微生物の代謝に与える影響について基礎的な知見を得ることを目指して研究を行った。グルコースオキシダーゼの基礎検討をもとに、他の酵素についても検討を進めた。特に、補酵素NAD等を必要とする酵素については、通電に伴い酵素活性が低下した。また、酸素を必要とする酵素においては、酵素活性が溶存酸素濃度に大きく依存することが明らかになった。これら酵素を固定化した状態、溶液中でフリーの状態においても酵素活性は大きく異なり、通電は酵素が置かれている状況にも依存することが示された。微生物を用いた場合、他の要因がさらに重なるため、酵素活性と通電の関連性を見出すことに注力して研究を進めた。上記の酵素を用いて陰極及び陽極からなる電池を組み立てたところ、電子の授受は効率良く行われたため、上述の内容に加えて電子の授受も重要な因子であることが見出された。今後、微生物の代謝における条件検討をさらに進めていく必要が有る。
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