研究課題/領域番号 |
25630386
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
森 梢 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術副主事 (80463090)
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研究分担者 |
秦田 勇二 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (20399562)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 微生物による変敗 |
研究概要 |
予め生育させたTABの菌体濁度を指標とし、酵素添加時の濁度低下をTABの溶菌活性とした簡易スクリーニングにより、応募調書記載のTAB溶菌酵素生産菌株と同程度の活性を有するStreptomyces sp. MBE22株を取得した。本年度は、当該菌株が生産するTAB溶菌酵素の精製と、その性質ならびに遺伝情報配列の決定を行った。 近年、果汁産業の国際機関であるIFU(International Federation of Fruit Juice Producers)や日本果汁協会はTABのための検査法を統一した。その一方で、企業からの聞き取りからは、製造現場では洗浄後もTABが陰性にならない事例も未だ現状としてあること、また、TABの遺伝子を増幅することによってTAB検出する手法も流通していることから、厳密なTABの除去が求められている。 TABによる変敗の原因は、わずかでもTABが製品に混入し、増殖した場合に生じる異臭(主にグアイアコール)である。そこで、取得したTAB溶菌酵素の作用効果を判定するために、TABの菌体増殖と、それに伴うグアイアコールの生産をペルオキシダーゼ法により測定した。その結果、30℃条件で8時間後の菌体増殖がほとんど認められない菌体増殖誘導期においても、酵素無添加条件では検出に十分なグアイアコール産生が認められた。その一方でMBE22株の粗酵素液(培養上清)添加条件では、同条件でグアイアコール産生が無添加条件の約90%に抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンプルな仮想製造条件として、製品の原料に含有されるグアイアコールの前駆体を含む条件で、溶菌粗酵素液のTABへの作用を試験した。この試験条件は、TAB変敗の条件(pH、被検物の含有物)を備えており、なおかつ温度をTABの増殖至適に設定した場合は、製造現場で用いられるTAB検出と同等であることから、より実地に即した試験である。 これまで簡易スクリーニングにより、TAB溶菌酵素生産菌候補株が複数得られている。そのうち、本年度はStreptomyces sp.MBE22株が菌体外に分泌する溶菌酵素をSDS-PAGEで単一バンドになるまで精製し、酵素のN末端アミノ酸配列およびアミノ酸配列の決定を行った。
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今後の研究の推進方策 |
精製し、配列情報を決定したMBE22株が生産するタンパクは、その相同性検索結果や、顕微鏡観察によるTAB溶菌の経時的観察により、細胞壁分解に関与する酵素であることが明らかとなった。さらに、グアイアコール産生を指標とした溶菌酵素のTABへの効果は、一定時間TABの増殖およびグアイアコールの産生を抑制する有効な結果を得ている。 今後は、取得したTAB溶菌酵素のより効果的な処方条件と探索するべく、種々の細胞壁分解酵素と取得したTAB溶菌酵素の相乗的溶菌条件を探索する。また、果汁あるいは果汁飲料を含む条件でのTAB溶菌酵素のTABへの作用を試験する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた設備備品費の「PCRサーマルサイクラー(DNA増幅装置)」は、所属機関で余剰となった機器が使用可能となり、購入が不要になったため。また、外部へ委託予定であった配列解析は、取得したタンパクの相同性の結果を鑑みた結果、外部委託する必要なく実施できると判断したため、予定していた費用の使用を見送った。 新たに取得したTAB溶菌酵素の精製用のカラム代、酵素分解産物分析および電子顕微鏡によるTAB溶菌観察の外部委託費とする。
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