研究課題
航空輸送量の増大に伴い空港周囲における過密状態は急激に悪化しており、遅延による燃料費の増大や環境影響が問題化している。本研究は、このような背景から様々な制約条件を満たしながら、複数機の空港進入の最適軌道を求めるアルゴリズムの開発を目的としている。3年間の研究計画の中で、平成26年度は1) 有限領域での最適化手法の開発と2) 実時間最適軌道計算アルゴリズムへの拡張を計画としていた。1) 有限領域での最適化手法の開発では、平成25年度に複数機の軌道上での干渉を時空間座標系を用いることで最適な衝突回避を行うことを示した。主に、上昇機と下降機の干渉問題であった。それに対して平成26年度は、下降機2機による到着順序の最適化を含む軌道最適化問題を扱った。これは連続的な軌道最適化と離散的な到着順序の最適化問題を解くことが要求され、整数混合問題として扱うことを試みた。結果は良好に得られ、成果を論文として投稿した。2) 実時間最適軌道計算アルゴリズムへの拡張では、空港周辺に到着する機体が無限に続くことに対応するアルゴリズム開発である。無限に到着機が空港周辺に到着するといっても、時間が経った後の機体が現在の機体の飛行経路に影響を及ぼすことは小さい。この点を考慮すれば、有限時間内の最適化を行うことで近似的に無限時間領域の最適化が可能である。従って、有限時間内の最適化を与えられた時間内に終了することが重要である。本研究では、計算時間が確定できるホモトピー法を導入することで対応することを検討した。
2: おおむね順調に進展している
当初の平成26年度の研究計画は、1) 有限領域での最適化手法の開発と2) 実時間最適軌道計算アルゴリズムへの拡張であった。両者に対して、順当に成果を上げており、当初の目標は十分に達せられた。なお、1) 有限領域での最適化手法の開発に関する研究成果の一部を、平成26年9月に開催された計測自動制御学会のAnnual Conferenceにおいて発表し、その後査読付き論文として発表が受理された。2) 実時間最適軌道計算アルゴリズムへの拡張に関しても、成果の一部を平成26年10月に開催された日本航空宇宙学会主催の飛行機シンポジウムで発表している。両課題に関して、その後も計算結果を蓄積しており、十分に目標を達した進展を得ている。
研究計画に見直しの必要はなく、当初の計画通りの研究を進展させる方針である。平成26年度は当研究課題の最終年度に当たる年度であり、最終的な成果をまとめあげる必要がある。研究課題としては、(3b)実時間最適軌道計算アルゴリズムへの拡張と(4)実データによる検証を行う。前者は、平成26年度の成果3次元空間軌道へ拡張したアルゴリズムの開発であり、後者は生成したアルゴリズムの実データによる検証である。以上の計画を今後に予定している。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
SICE Journal of Control, Measurment, and System Integration
巻: 8 ページ: 144-153