研究課題/領域番号 |
25630389
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
松井 信 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90547100)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プラズマ診断 / レーザー分光 / 波長変調法 / キャビティ法 / 数密度測定 |
研究概要 |
本年度はまず波長変調分光法(WFM)システムを構築し,二次高調波信号を用いたアルゴングロー放電管中の原子数密度測定を行い,測定感度を検証した.その結果,従来のレーザー吸収分光法に比べて感度が40倍向上したことがわかった. 次にマイクロ波放電プラズマを対象としたキャビティ法による感度向上システム(集積共振器出力分光法:ICOS)を構築した.本システムは放電管両端をブリュースター窓にすることでレーザー光の透過損失を激的に抑えることができ,キャビティ内に放電管を設置してもその透過損失を無視することができる.リングダウンタイムから感度を検証した結果,本システムにより感度が60倍向上したことがわかった. 以上,2つの測定法を組み合わせたWFM-ICOS法において感度性能を検証したところ,予想(40×60=2400倍)より一桁低い240倍の感度向上にとどまった.この原因を探るため,数値計算によりキャビティの共振周波数と変調周波数,掃引周波数による感度向上への影響を検証した.その結果,変調周波数が大きくなり,共振周波数を発振する時間がリングダウンタイムに相当する共振条件を満たす時間より短くなると実行光路長が低下し,感度が下がることがわかった.この現象はミラーの反射率が高ければ高いほど顕著に現れ,99.9%のミラー(ICOSによる感度向上:1000倍相当)では変調周波数が10Hzを超えると感度が急激に低下することがわかった.WFMは一般に変調周波数が高いほどSN比が上がり感度が向上するため,WM-ICO法では変調周波数に最適値があると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
波長変調法(WFM),キャビティ法(集積共振器出力分光法:ICOS)それぞれのシステムを構築し,感度向上の検証に成功した.この2つを組み合わせたWFM-ICOSに実験を行い,その性能評価及び期待値より性能が低いことが実証されたが,数値計算によりその原因を突き止め,最適値があること,改善法の指針が示唆された.
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今後の研究の推進方策 |
今後は数値計算で予測された傾向を定量的に実験で検証し,感度の最適値を求める.また,計算により感度低下の原因となった共振条件と変調周波数の制約に関して共振長をピエーゾ素子で変調することで変調周波数の上限を緩和し,感度向上を試みる.以上により感度を10,000倍以上に向上させることで禁則線遷移を用いた酸素原子数密度測定を実証する.
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