研究課題
本年度は集積共振器出力分光法(ICOS)によりマイクロ波放電プラズマ中の酸素原子数密度測定を行い,実効光路長を822倍増幅することで吸収信号を取得することに成功し,プラズマ長40cm,酸素原子数密度1.2×10^21m-3以上での酸素原子数密度の測定が可能であることがわかった.これはプラズマ長10mm,圧力6.4kPa以上衝撃波層の測定が可能であることを示しており,さらに一桁以上の感度向上が必要である.そこで過去の研究からSN比を40倍向上させることができる波長変調分光法(WMS)と組み合わせることでさらなる感度向上を試みたが期待以上に感度は向上しなかった.数値計算によりこの原因を探ったところ,ICOSの共振条件を満たすのに必要な時間に比べ波長変調の速度が速過ぎると共振が起きず実効光路長が下がることがわかった.一方で変調周波数を下げるとWMSのSN比が下がり感度が向上しないこともわかった.そこで変調周波数,掃引周波数,カットオフ周波数をパラメータとして感度向上が最適になる条件を実験的に検証したところ,ICOSの実効光路長を維持したままさらにSN比を32倍向上させることに成功した.この値はプラズマ長10mmに対し,250Pa以上の酸素原子分圧の測定が可能であることを示している.これはプラズマ風洞を用いた耐熱材料試験模型全面に形成された衝撃波層内の酸素原子数密度測定が可能であることを示しており,本研究の目的を達成したといえる.一方で,現状ではICOSのアライメント精度により直径8mm程度が下限であるため,今後は空間分解能の高精度化が課題となる.
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Frontier of Applied Plasma Technology
巻: 7 ページ: 49-54
AIAA Journal
巻: 52 ページ: 1806-1810
10.2514/1.J052991
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~tmmatui/index.htm