本研究は、2つの対向する流れの干渉を実験的に調べることを可能にするため、能動同期が可能な駆動部を両端に持ち、それぞれ独立に条件を設定できる衝撃波管を開発することを目的として実施された。能動的同期が可能な駆動部として、①渦電流方式、②エアシリンダー方式、③二重隔膜方式の3通りの方式の装置を試作し、性能評価実験を行った。実験は、既存の衝撃波管を延長し新たに駆動部を設けることによって実施した。性能評価の指針として、(1)実効隔膜破断時間および衝撃波生成距離、(2)圧力損失および衝撃波背後状態の一様性、(3)隔膜破断時間のジッターの3点を比較した。方式①は、最も遅延時間が短かくジッターも小さかったが、流路断面積の40%を占めてしまい圧力損失を招くため小型装置には不向きであること、1kAのパルス電流を供給するため長期的な安全確保と電気ノイズの除去対策が必要であることににより不採用とした。方式③は、1枚のセロファン膜を破断するのに必要な圧力差が80kPaにも達し、衝撃波管の作動条件に大きな制約を与えるために不採用とした。これらに対して方式②では、(1)~(3)の評価量に対して十分な性能を与えることが実証されたため、これを採用した。これに基づいて当該衝撃波管の両端にエアシリンダー駆動隔膜破断装置を装備し、対向式衝撃波管の開発に成功した。装置の有用性を示すため、一端から衝撃波背後の流れを利用した格子乱流を、他端から独立に条件設定された垂直衝撃波を生成し、中央の試験部において衝撃波と乱流の干渉実験を行った。
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