研究課題/領域番号 |
25630405
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
阿部 晃久 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (50221726)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 船体付着生物 / 高圧水流 / マイクロバブル / 水中衝撃波 / 衝撃波収束 / マイクロジェット |
研究実績の概要 |
水中衝撃圧の海事産業への活用を目指し、その技術展開のための先駆けとして、エネルギーコストと環境への負荷を低減できる水中衝撃圧の生成と活用を目的として、低コストで連続的に発生可能な水中衝撃波生成方法の確立と生成した衝撃圧の有効利用のための圧力増幅方法について検討が続けられた。磁力補助機構を有する高圧ガス駆動の無隔膜衝撃波生成装置を用いた水中衝撃波生成方法について、様々な方法で繰返し実験を実施し、最終的に水面に近接させて設置した薄膜に沿って衝撃波を入射させることで、水中衝撃波の発生を確認することができた。この結果は、高エネルギーが必要とされる水中衝撃波の低コスト生成の実現可能性を強く示唆する成果であると考えている。次年度では本結果で得られた実験条件を集中的に調査し、さらに強い水中衝撃圧を生成できる条件を明らかにする計画である。一方、オリフィス板を通して高圧水流を水中へ噴射し、キャビテーションバブル噴流を生成する実験によって、微小気泡群の自己崩壊現象による断続的な水中衝撃波の発生を確認した。ノズルの吐出圧力が約6.6 MPa、1 mmのオリフィス穴径から生成されたキャビテーション気泡の平均直径は約90μmであり、マイクロバブルとしては少々大きいが、自然に衝撃波が連続発生するため、非常に効率的に微小気泡と衝撃圧を利用出来る可能性が見出された。自己崩壊により発生する衝撃波を反射体により収束させることによって、さらに圧力増幅を図ることができれば、非常に単純な構造かつ低コストで船底付着生物の除去等へ応用可能と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
少々遅れ気味である。当初の研究計画では、平成26年度前半に水中衝撃圧生成実験と圧力増幅のための基礎実験の実施、平成26年度後半にマイクロバブル噴流と生成衝撃波を組み合わせ、衝撃波の照射方法の最適化についての検討が予定されていたが、圧縮ガス圧による水中衝撃波生成が予想以上に難しく、様々な方法による確認実験に時間が費やされ、成果を得るのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実験研究によって、圧縮ガス圧による水中衝撃波生成の期待出来る手段が見出されたことから、その方式を基礎として改善を行い、さらに良好な水中衝撃波を生成出来る条件の同定を行う。一方、昨年度までの研究から副次的に見出された方法として、比較的小さな直径のキャビテーション気泡の生成とそれらの自然崩壊による断続的な水中衝撃波の発生を利用した新たなノズルを試作し、フジツボ等の海洋生物の除去試験を実施し、その除去効果について実験的に検討する。
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