研究課題/領域番号 |
25630411
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加納 純也 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40271978)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生可能エネルギー / 水素 / メカノケミカル |
研究概要 |
炭材からの水素生成に及ぼす炭材種ならびに混合方法の影響を検討した。 炭材として、木炭、備長炭、活性炭、グラファイト、カーボンの5種類を準備し、水素生成実験に使用した。炭材はすべて炭素からできているものと仮定して、まず、炭材7mol、水酸化カルシウム6mol、水酸化ニッケル1molの組成になるように、混合した。つづいて、その混合試料を水蒸気雰囲気下にて600℃で加熱し、水素生成を試みた。なお、混合には、乳鉢と遊星ミルを用い、その混合方法が、水素生成に及ぼす影響を検討した。 乳鉢を用いて混合した場合、木炭、グラファイト、備長炭、カーボン、活性炭の順に、水素が12.3g/炭材kg、10.5、10.1、9.0、8.7、それぞれ生成した。乳鉢を用いて今後した場合は、水素の生成が10g前後であり、それほど炭材種による影響は顕著ではないことがわかった。 混合を遊星ミルを使用して行った場合は、木炭、カーボン、活性炭、備長炭、グラファイトの順に水素が、112.3g/炭材kg、59.5、43.3、30.0、9.1、それぞれ生成した。グラファイトの場合を除いて、乳鉢で混合するよりも遊星ミルで混合した方が、水素の生成量が飛躍的に増加し、木炭の場合で約9倍、備長炭で約3倍、活性炭で約5倍、カーボンで約6倍増加した。 これらの原因を探索するために、それぞれの炭材を空気雰囲気と窒素雰囲気にて熱分析を行った。遊星ミルで混合した場合の試料を窒素雰囲気で熱分析を行ったところ、600度付近でいずれの試料でも鋭い発熱ピークが検出され、乳鉢の混合では、それに相当する発熱ピークが観察されなかった。この発熱ピークが水素生成と大きく関係しているものと考えられ、粉末X線回折により、その発熱ピークがどのような反応によるものかを解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)炭材の収集においては、木炭、カーボン、活性炭、備長炭、グラファイトの5種類を収集し、水素生成実験に供した。 2)炭材と水酸化カルシウム、水酸化ニッケルを乳鉢で混合し、水素生成実験を行い、水素発生量を明確にした。 3)メカノケミカル処理においては、小型遊星ミルを用いて行った。遊星ミルによるメカノケミカル処理が水素発生量に与える影響を明確にした。乳鉢混合に比べ、水素の発生量が飛躍的に増加することを発見した。 4)木炭、カーボン、活性炭、備長炭、グラファイトの5種類に対して炭材種の違いが水素発生量に及ぼす影響について明確にした。さらに、乳鉢混合と遊星ミル混合(メカノケミカル処理)の両方においても水素生成量に及ぼす影響を明確にした。特に木炭を使用した場合に発生量が多く、グラファイトの約10倍である。 5)反応のメカニズムに関しては、熱分析、粉末X線回折を用いて解明を試みた。 以上のように、計画にもとづいて、研究を実施し、当初の計画が達成された。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、触媒の探索とその量の適正化をテーマに掲げ、水素の生成量を最大にし、コストを最小にする条件の探索を行う。具体的には、触媒となり得る物質の調査、触媒候補を用いた水素生成実験、使用する触媒量が水素発生量に及ぼす影響の定量的評価、製造コストがミニマムになる触媒の選定を予定しており、着実に一つずつ進めていく予定である。 連携研究者と定期的にディスカッションを行い、現在の研究の進捗状況確認、今後の展開に関して共通認識をもち、研究を行っていく。 現在の進捗状況ならびに今後の課題を整理した上で、定期的に学会発表等を行い、社会に研究成果を発表していく。 特許出願も積極的にすることも考慮し、研究を展開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の研究を効率的に推進したことにより生じたものである. 次年度請求額と合わせて平成26年度の研究遂行において使用する予定である.
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