研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究はDT 反応で発生した3.5MeV アルファ粒子の閉じ込め物理に関する研究を行うことを目標に,高エネルギーイオンの観測からプラズマ中に内在する低域混成波帯波動及び微視的乱流との相互作用を理解し,高エネルギーイオンの閉じ込めへの影響を明らかにすることを目的とする.協同トムソン散乱(CTS)計測はミリ波ビームの散乱波のドップラーシフトスペクトルから局所的な高エネルギーイオン速度分布関数を得るのが基本原理である.目的達成のためにCTS 信号のデジタル信号処理(DSP)方式受信機を開発する.そうすることで時間分解能と周波数分解能(=速度分解能)が格段に向上し,従来未解明な数十マイクロ秒の現象をイオン速度分布関数の歪レベルで観測可能となり,閉じ込め物理と自己燃焼モデリング精度の飛躍的向上が期待できる.平成24年度の計画:DSP方式受信機の開発に必要な物品を購入した.また,得られたデータを高速フーリエ変換してスペクトル表示と解析するソフトを開発した.LHD実験においてスペクトル取得を行い,次年度に向けた問題点の洗い出しを行った.次年度計画へ向け計画の調整を行う.3 月にはワークショップにおいて招待講演を行った.また,投稿論文を発表した.
2: おおむね順調に進展している
既存の高速デジタイザを用いて,順調にスペクトルアナライザとして協同トムソン散乱計測により得られた散乱信号からスペクトルを得ることに成功した.解析ソフトを開発しジャイロトロンの運転状況によっては不要モードが発生するが,それがどの周波数帯から生じているのかをショット後すぐに解析できる状態にしたことで,不要モードを抑えた運転を行ったり,ピンスイッチを導入してノイズ発生時間帯は信号源を遮断するなどの改良も行った.そうすることで信頼性の高い信号を得ることができるようになった.従って研究目的に沿って概ね順調に進展している.
今後はLHD実験において協同トムソン散乱によるデータ取得を行い,現在の散乱モデルから得られたイオン温度と高速イオン分布関数の評価を行う.プローブビームに77GHzのミリ波を用いているが,ビーム屈折効果などの影響があり,154GHzのプローブビームによる計測も行う予定である.更にはプラズマ閉じ込め物理の議論へと展開していくことを予定している.
次年度成果を取りまとめ国際会議に発表するための旅費を確保する必要があったため,次年度使用額が生じた.H26年度に国際会議の参加旅費に使用する.
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Proceedings of The 5th International Workshop on Far-Infrared Technologies 2014(IW-FIRT2014)
巻: 1 ページ: 5p-3, 1-7
Nuclear Fusion
巻: 54 ページ: 023006, 1-10
doi:10.1088/0029-5515/54/2/023006
Plasma and Fusion Research
巻: 8 ページ: 2402069, 1-4
10.1585/pfr.8.2402069
巻: 8 ページ: 2402027, 1-4
10.1585/pfr.8.2402027
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/pros/person/masaki_nishiura/masaki_nishiura.htm