研究課題/領域番号 |
25630424
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤吉 亮子 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70229061)
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研究分担者 |
岡本 一将 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10437353)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レジスト / パルスラジオリシス / レーザーフォトリシス / 放射線、X線、粒子線 / 放射線科学 |
研究概要 |
現在半導体製造リソグラフィプロセスには、露光源として主にレーザーを利用した手法が用いられている。加工寸法の縮小に伴い、電子線や極端紫外光(EUV)が次世代の露光源として有望視され開発が行われているが、現状では実現のために特にその生産性の改善が問題となっている。本研究では、レジスト材料の感度増加を目指す、電子線とレーザーをマイクロ秒以内のタイミングで逐次的にレジスト材料に照射する新規プロセスについて研究を行った。従来研究を行ってきた、レジスト材料やそのモデル有機化合物の放射線・光化学の研究をより発展させ、逐次量子ビーム誘起による新規な増感反応機構の詳細を明らかにすることが本研究の目的である。 本年度は、レジストおよびその誘導体を対象として評価を行った。北大45 MeV電子加速器からの電子線と同期させる励起用のレーザーとしては、Nd:YAGレーザーの発振波長である1064 nmおよび第二、第三高調波(それぞれ532 nmおよび355 nm)を使用し、照射を行った。電子線とレーザーを逐次的に照射することによる、放射線・光反応機構を調べるため、「パルスラジオリシス-レーザーフォトリシス法」の適用可能性ならびにレジスト高感度化について、以下の項目について明らかにした。 1.レジスト高分子の放射線誘起中間体であるラジカルカチオンおよびフェノキシラジカルの過渡吸収ならびに基礎吸収スペクトルの評価を行い、適用できるレーザー波長について明らかにした。 2.レーザー照射によるイオン化反応の影響を考えると、中間体の吸収極大波長域(~460 nm)のレーザー照射がよりレジスト高感度効果が大きいことが明らかとなった。 3.レジスト感度評価に必要となる45 MeV電子線1shotあたりの吸収線量を、ポリ(4-ヒドロキシスチレン)薄膜をサンプルとして生成する酸収量から求めた。1shotあたりの吸収線量は約100 Gyと評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的であるレジストの増感反応について、計画通り感度評価の手法を確立することができた。また増感に必要な分子組成を明らかにすることができた。さらに、理論的な解釈について、分子軌道計算等を組み合わせることにより、次年度以降行えるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
加速器からの電子線とレーザーを逐次照射を行うパルスラジオリシス-レーザーフォトリシス法を、北海道大学で行うとともに、新たに大阪大学での波長可変レーザーを用いたシステムによって遂行し、レジストの増感反応の高性能化を目指す。また並行して理論的なアプローチを積極的に進めるとともに電子線パルスラジオリシスによるサンプル中での放射線化学反応を明らかにしていく。
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