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2013 年度 実施状況報告書

有機物により構成される生体等価型輝尽蛍光体の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25630427
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東北大学

研究代表者

越水 正典  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40374962)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード輝尽蛍光 / 有機無機ハイブリッド / 熱蛍光
研究概要

今年度には、ポリマーベースの有機蛍光体の開発を行った。特に、少量の無機ナノ粒子添加や、多様な蛍光体分子の添加技術を確立した。これらの技術は、次年度以降の材料開発における基盤技術となる。
従来の輝尽蛍光材料と同様の、波長500 nm以上の刺激光での読み出しを想定すると、発光波長として450 nm以下が望ましい。その場合、蛍光量子収率が高く、なおかつその発光波長(短すぎても光電子増倍管などでの検出感度が低いため、350 nm以上の発光波長が望ましい)のものとなると、想定される有機蛍光分子として、DPO-POPOP系、あるいはbutyl-PBDが望ましい。これらの分子を高濃度に導入すると、濃度消光が生じる。そのため、最適な濃度範囲が存在する。今年度の研究の結果、この最適な濃度範囲は、DPO-POPOP系において、butyl-PBDの10倍程度であることが明らかとなった。後述するように、蛍光分子の濃度は、輝尽蛍光過程を決定付ける重要なパラメータの一つである。このような相補的な最適濃度を有する蛍光分子を見出したことにより、蛍光分子濃度の範囲を幅広く探索しながら、次年度の材料設計を行うことが可能となった。
材料作製手法としても、有機溶媒中にポリマーと有機蛍光分子との双方を溶解させ、その後の有機溶媒の蒸発によって蛍光体を作製する手法と、ポリマーの原料(モノマー)の熱重合により材料を得る手法との双方を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

非常に多様な物質を導入して、ポリマー系材料を作製することが可能となった点が第一点である。例えば、超臨界水で合成したナノ粒子の担持が可能となった。この際に、ポリマーの重合による手法、あるいは溶媒蒸発による手法の双方が可能となったため、導入する物質の幅が非常に広がった。このことは、輝尽蛍光を実現するうえで非常に重要である。なぜなら、電子や正孔のトラップサイトとなる分子や蛍光分子など、多様な成分の導入が不可欠なためである。
第二の点は、上述のように、幅広い濃度の蛍光体を用いて開発が可能となった点である。

今後の研究の推進方策

今後、多様な分子を添加したポリマー系材料を開発する予定である。中でも対象となるのが、ドナー、あるいはアクセプターとなる分子の導入である。これらは、ポリマー中で励起状態(あるいは電子正孔対)が生じた際に、電子、あるいは正孔を、準安定的にトラップすると想定される。電荷移動錯体の既往の膨大な研究を参照し、多様なドナー・アクセプター分子の導入を進める。
今後の研究におけるパラメータとしては、1.ドナー・アクセプター分子の種類、2.導入濃度、3.蛍光分子濃度、の3つが挙げられる。これらは、電子および正孔の準安定的なトラップや、その後の再結合、および再結合エネルギーの蛍光分子への移動、という過程で決定的な役割を果たすパラメータである。
なお、輝尽蛍光特性の解析と並行して、融点や熱分解温度以下での熱蛍光特性の解析を視野に入れている。熱蛍光では、準安定的にトラップされた電子や正孔を、刺激光ではなく、熱により再励起する。即ち、両者の過程は非常に類似しており、熱蛍光のグローカーブから得られる情報も得ながら、材料設計を進めていく。

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公開日: 2015-05-28  

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