研究課題
有機物ベースでの輝尽蛍光体開発を行った。従来の輝尽蛍光材料では、構成元素の原子番号や密度が大きく、生体内での線量計として利用するには制約が多い。輝尽蛍光材料を有機物で構成することにより、生体とほぼ等価な元素組成となるため、生体内での精密な線量測定が可能となる。多核の錯体結晶という新たな材料系の利用により、有機物ベースでの輝尽蛍光特性を達成する。このような材料開発は、輝尽蛍光材料を開発する上で新規かつ有効なアプローチであると考えられ、有機物での輝尽蛍光特性が実現されれば、生体等価材料を用いた線量計として広くその応用が期待される。輝尽蛍光体を形成するためには、無機元素の助力が不可欠である。即ち、無機元素による電荷捕獲状態の形成に基づき、輝尽蛍光特性の発現を試みた。そのための手法として、本研究では、ナノメートルスケールで無機物をポリマー中に析出させ、あるいはあらかじめ別の手法で合成したナノ粒子をポリマー中に分散させ、有機無機ハイブリッド材料を構築することに成功した。この手法は、あらゆる無機ナノ粒子に対して適用可能であるため、研究開始当初に掲げられた目的の大部分は達成されたといえる。一方、現状で得られている輝尽蛍光の強度はそれほど大きくない。そのため、ポリマーマトリクスへの分散制御手法の更なる改良や、添加するナノ粒子の種類、あるいはナノ粒子そのものの特性をよりよいものに改良することが必要となってくると想定される。
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Sensors and Materials
巻: 27 ページ: 255-261
Applied Physics Letters
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