研究課題/領域番号 |
25630445
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 公益財団法人名古屋産業科学研究所 |
研究代表者 |
森田 健治 公益財団法人名古屋産業科学研究所, その他部局等, 研究員 (10023144)
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研究分担者 |
土屋 文 名城大学, 理工学部, 准教授 (90302215)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水素貯蔵材料 / 水素製造 / マイクロ波加熱 / 金属・セラミックス複合材 / イオンビーム分析 |
研究概要 |
現在、CO2を排出しない、繰り返し再生利用可能な水素エネルギー社会の実現を目指して、水素生成、貯蔵、利用技術の研究開発が実施されている。水素貯蔵技術の目標は、水素燃料電池を自動車に搭載する場合、常温吸蔵、重量貯蔵容量:5wt%以上、水素ガス化温度150度以下である。研究開発の現状は、世界的にこの目標の達成に至らず、再生利用から離れ、1回利用の低水素ガス化温度の有機水素化物の高効率生成技術の研究開発が進められている。 本研究では、水素の安定な金属と不安定な金属とを組み合わせ、最適化により合金や化合物を設計する、従来の水素貯蔵材の開発手法と全く異なる概念に基づき、これまで金属ー酸化物セラミックス(例えばPtとLi2ZrO3)二層複合水素貯蔵材の研究を、イオンビーム分析により行ってきた。その結果、Pt/Li2ZrO3/PtとPt/Li4SiO4/Ptのサンドイッチ試料は、1)常温の空気水蒸気から水素を吸蔵すること、2)見かけの重量貯蔵量は20wt%で、その3wt%程度が水素ガスとして、残りの17wt%がOH-でH2Oとして放出されること、3)ガス化温度が100度以下であること、4)水素ガスと貯蔵材との体積比が100倍であること、5)加熱ガス化後、再び常温の空気水蒸気から水素を吸蔵すること、6)水素の大部分はH2としてマイクロポアーに捕獲されていること等の水素製造に極めて有利な特性を有していることを示した。この複合水素貯蔵材料を実用化するための研究開発課題は、試料の急速加熱による高圧水素ガスの精製、吸蔵・ガス化の繰り返しによる触媒寿命推定、貯蔵容量の向上、吸蔵速度の向上、経済性を視野に入れた安価な材料開発等である。 本申請の研究は、実用化の推進に最も重要な試料の急速加熱による高圧水素ガスの精製技術の開発である。その他の課題は、これまでの基礎研究成果に基づき解決できると予測している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的を達成のために、平成25年度に取り組んだ研究は、種々の実験装置・器具の準備を含め順調に進んでいる。 具体的には、試料作製のための金属薄膜スパッタ蒸着装置を設置し、またマイクロ波加熱による貯蔵水素のガス化のための試料加熱用大型電子レンジとガス化された水素を入れるガラス容器を購入・設備した。 今年度は、試料を作製し、水素を吸蔵させ、ガス化実験を実施する段階である。
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今後の研究の推進方策 |
初期の目的の達成のため、実験を遂行する段階にある。 水素吸蔵試料の急速マイクロ波加熱による高圧の水素精製の達成が確認された後、精製水素の純度をガスクロマトグラフィーを用いて測定する。 その後、水素吸蔵と水素のガス化の実験を繰り返し行い、水素吸蔵触媒の寿命の推定を行う。これと平行して、水素吸蔵試料の急速マイクロは加熱による水素精製装置システムの設計を行い、次段階の実用化試験の準備に備える。
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