中枢神経系のNMDA受容体は、シナプス伝達の可塑的調節に関与し、個体レベルでは、記憶・学習のような高次脳機能の制御だけでなく、種々の精神神経疾患にも関与する。その活性化には、グルタミン酸と同時にコアゴニストであるD-セリンの結合が必須である。本研究計画では、マウス海馬スライス標本のCA1領域の錐体細胞において、シナプス内外でNMDA受容体に対するD-セリンの効果が異なることを確認した。また、D-セリン合成酵素であるセリンラセマーゼのノックアウトマウスにおけるシナプス可塑性の異常を示唆する予備的なデータを得た。
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