研究課題
アクティブゾーン蛋白質CASTおよびELKSのN末領域のセリン残基をアラニン残基に置換したノックインマウスのヘテロ個体の作製に成功した。現在、電気生理学的解析およびマウス行動学解析のために交配・繁殖を行っている。ラット上顎神経節初代培養細胞を用いた実験では、CASTのリン酸化がシナプス小胞のプールサイズを調整しているというデータを得た。現在、このリン酸化の上流のシグナル伝達機構は不明であるが、シナプス短期可塑性はシナプス終末のカルシウム濃度に大きな影響を受けることから、カルシウムイオン感受性の分子の関与が示唆される。さらに、AMPKファミリーをラット初代培養神経細胞に遺伝子導入し、その形態を詳細に解析したところ、SAD-A/Bファミリーを遺伝子導入したものが特に死細胞の割合が高かった。同様の表現型は非神経細胞のCOS7細胞でも観察された。また、阻害剤を用いた実験から、この細胞死がネクローシスによるものであることが示唆された。アポトーシスおよびオートファジーの阻害剤はほとんど影響が見られなかった。このことから、AMPKファミリーのSADサブファミリーが神経細胞および非神経細胞に共通したネクローシスシグナルを制御している可能性が示唆された。興味深いことに、リン酸化能を有さない変異体では影響がないことから、SADによる下流分子のリン酸化が重要なメカニズムの一つと考えられた。イメージングに必要な抗体に関しては、自作の抗体およびコマーシャルのものが揃ったので、免疫組織染色ならびにウェスタンブロット法にて、局在、発現パターン、発現量などの解析を進めて、これらの定量化を行う。
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Mol. Brain
巻: 7 ページ: 79
10.1186/s13041-014 -0079-5.
http://www.med.yamanashi.ac.jp/basic/bioche01/