研究概要 |
近年パーキンソン病の一因として損傷ミトコンドリアの品質管理システムの破綻が注目されている。われわれはミトコンドリア品質管理へのFKBP38の関与を見いだした[Shirane & Nakayama, Nature Cell Biol., (2003); Saita, et al, Nature Commun., (in revision)]。本研究では、FKBP38によって制御されるShhシグナル伝達経路の詳細と、FKBP38結合分子として新規同定されたANKMY2の機能を明らかにすることを目的とした。そしてドーパミンニューロン特異的なFKBP38およびANKMY2のコンディショナルノックアウトマウスを作製・解析し、パーキンソン病との関連を解明することを目指した。これらの解析により、ミトコンドリア品質管理におけるShhシグナルの関与と機構、およびそのパーキンソン病発症との関連を明らかにすることを最終目標とした。 その研究実績の概要は、以下の通りである。 (1)神経細胞におけるFKBP38結合タンパク質ANKMY2の同定。(2)FKBP38によるミトコンドリア品質管理(マイトファジー応答)機構の解明。(3)FKBP38とShhシグナルおよびANKMY2との相互関係の解析。(4)一次繊毛内輸送におけるFKBP38とANKMY2の関与の解析。(5)ドーパミンニューロン特異的FKBP38・ANKMY2コンディショナルノックアウトマウスの作製。(6)FKBP38によるミトコンドリア品質管理機構とパーキンソン病との関連の解析。 以上のうち、(1)~(4)は論文にまとめて投稿し、現在リバイス中である。また、(5)~(6)については、ES細胞は作製済みで、マウス作製中の段階まで達成した。
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