研究概要 |
本研究は、(1)霊長類領野特異的発現遺伝子の解析から明らかになってきた連合野特異的発現遺伝子のプロモーターのCpG領域の高度のメチル化(Hata et al., 2013)と対比して、メチル化レベルの低い視覚野特異的発現遺伝子の制御様式の解明、(2)研究代表者等のグループが確立してきたマーモセット視覚野に於ける光誘導系の確立により明らかになってきた眼優位性カラムのマーモセットにおける確立(Nakagami et al., 2013)の2つの系を統合して、霊長類一次視覚野に於いて固有に進化してきた転写制御機構の分子的実体を解明することを目指している。これまでの(1)の研究により、視覚野特異的発現遺伝子のプロモーター領域のメチル化は領野を問わず低いことから、この制御の主要な部分は、非メチル化領域に結合する転写因子によると推測される。(2)の研究から、マーモセットのTTX片眼注入と光誘導系を用いて、一次視覚野における活動依存的遺伝子発現制御を経時的に観察することができるようになり、霊長類視覚野特異的発現遺伝子は、活動依存的発現遺伝子でもあるので、両者の系を統合的に用いテ解析することが可能になった。既に、連合野特異的発現遺伝子の解析では、AAVウイルスベクターを用いた解析系ににより、MBD4メチル化結合蛋白質による発現制御(gain of function, loss of function)系を確立することが出来たので、今後、マーモセットの一次視覚野における転写因子による非メチル化プロモーター領域の発現制御を解析する系を確立することができたと考えている。
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