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2014 年度 実施状況報告書

マーモセット視覚野光誘導系を用いた活動依存的遺伝子発現調節因子の同定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25640016
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

山森 哲雄  基礎生物学研究所, 脳生物学研究部門, 教授 (80260206)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード眼優位性カラム / マーモセット / 一次視覚野 / 転写制御
研究実績の概要

ほ乳類の視覚系の主要な経路は、網膜から視床の一部(外側膝状体)を介した大脳皮質一次視覚野への入力系である。この入力系に於いては、HubelとWiesel以来、左右眼のそれぞれの入力に強く反応する眼優位性カラムの存在が知られている。げっ歯類では、左右の入力に対応した解剖学的に明瞭に区別されるようなカラムは存在しない(左右眼の入力に優位に反応する神経細胞レベルでの眼優位性は存在する)。一方、マカカザルやヒトでは、明瞭な眼優位性カラムが認められる。コモンマーモセットは、世界ザルであり小型で繁殖力が強くgerm line transmission可能なことから、近年、研究者の関心が高まっている。新世界ザルに於ける眼優位性カラムの存在は、30年近い論争があり、幼児期には存在するが、成熟ザルにはないと言う説や、近年に至っても電気生理学、解剖学、fMRIなどのイメージングによってその存在の可否が議論されている。我々は、Markstahler等(1998)によって、報告されていたTTXを片眼に投与して24時間後に最初期遺伝子の発現を調べる方法をよりシステム的に調べる手法を改良した。片眼に
TTXを注入後、暗闇で24時間飼育することによって、最初期遺伝子の発現をin situ hybridization法で調べることにより、一次視覚野の1層を除く全ての層で、健常眼(TTXを注入していない眼)に対応したカラムとTTX注眼に対応する領域(カラム)を観察した。本研究計画では、これらの系を用いて、霊長類(マーモセット)に於ける光刺激に応答する一次視覚野における活動遺伝的な遺伝子発現制御機構を明らかにすることを目指す。そのため、光刺激によって誘導される遺伝子を同定し、さらにその制御機構を分子レベルで解明する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

新世界ザルマーモセットに於いて、従来論争のあった眼優位性カラムを、TTXを片眼に注入した全てのマーモセットで、1層以外の全層において確認した。当初は、この系を用いて、網膜への光刺激に反応して、発現が誘導される遺伝子の同定をめざしていた。この目標は、ほぼ達成したと考えている。現在、更に、これを転写レベルで発現制御する遺伝子を同定し、その機能の検証を目指している。予備的な実験の検証を終えており、繰り越し期間中にその検証をめざしているおり、当初の研究計画以上の達成を最終的な目標とする事が可能となった。

今後の研究の推進方策

当研究で確立したマーモセットの光誘導系を用いた眼優位性カラム検出系を確立した。
1)今後、この系を用いて、霊長類一次視覚野に於ける活動依存的発現遺伝子発現の転写制御機構を分子レベルで明らかにするため、それに関与する遺伝子を同定しつつある。
2)更に、ウイルスベクターによる遺伝子導入法を用いて、それぞれの遺伝子にloss of functionとgain of functionを検証する予定であり、現在その予備的検証を行っている。
3)今後、より詳細な解析の実施を計画している。

次年度使用額が生じた理由

研究概要に記載したように、本研究は順調に進捗してきた。その結果、光誘導によって発現する遺伝子群を同定することができた。更に、この遺伝子を制御する転写制御系をloss of function法とgain of function法によって、検証でる可能性ができた。そのため、予備的実験を行い、繰り越して平成27年度に検証する必要がでてきた。

次年度使用額の使用計画

平成27年度は、平成26年中に作成した、shRNA法によって、転写制御遺伝子の制御機能を検証する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Gene manipulation in the marmoset brain using virus vectors2015

    • 著者名/発表者名
      山森哲雄
    • 学会等名
      日本マーモセット学会
    • 発表場所
      犬山国際観光センター「フロイデ」(愛知県、犬山市)
    • 年月日
      2015-01-21 – 2015-01-22
    • 招待講演
  • [学会発表] 第37回日本神経科学会大会2014

    • 著者名/発表者名
      仲神友貴、渡我部 昭哉、竹森洋、山森 哲雄
    • 学会等名
      第37回日本神経科学会大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県、横浜市)
    • 年月日
      2014-09-13

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公開日: 2016-05-27  

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