研究課題/領域番号 |
25640022
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道文教大学 |
研究代表者 |
木村 一志 北海道文教大学, 人間科学部, 教授 (20314180)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シナプス / イオンチャネル / 細胞間接着 / 活動電位 |
研究概要 |
本研究では神経活動に依存したシナプス形成の分子メカニズムを解明することを最終目標として、申請者が新たに細胞接着活性を持つ分子として見出した電位依存性カリウムチャネル、KCNXのシナプス形成における役割を明らかにする。 本年度は、KCNXの詳細な発現時期や局在部位を組織や培養神経細胞を用いて、免疫電顕により解析するために、さまざまな抗体を作成し、検討したが、特異的な抗体が作成できず、内在性KCNX の局在を明らかにすることはできなかった。そのため、GFP-KCNXノックインマウスを作成し、抗GFP抗体による免疫染色を行い、外来性のKCNXの局在を検討したところ、海馬シナプス領域に発現することを確認した。現在、更なる局在解析を進めているところである。次にKCNXがどのような生理機能(シナプス形成や神経回路形成)を発揮するのかを神経活動電位とシナプス形成の関係に着目して、明らかにするために、KCNXのノックアウトマウスを作成した。現在、ノックアウトマウスにおける、脳の形態学的解析を行っているところである。さらに、KCNXを恒常的に発現する線維芽細胞を作成し、KCNXに依存した弱い細胞間相互作用を検出できるアッセイを構築し、KCNXによる細胞間相互作用が細胞外領域に依存し、ホモフィリックな活性であることを確認している。現在、この線維芽細胞と初代培養神経細胞の共培養によって、人工シナプスが形成されるかどうかを検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KCNXの機能を解明する第一歩として脳内発現部位や神経細胞内の局在をタンパク質レベルで明らかにする必要があるが、この目的に適した抗KCNX抗体の作成が非常に困難であったため、目的の達成が遅れている。そのため、次善の策としてGFP-KCNXノックインマウスを作成することにより、現在局在解析を進めている。次に、KCNXによる細胞間相互作用が非常に弱いため、その活性を検出するアッセイの構築に時間を要した。また、KCNXを恒常的に発現する線維芽細胞の作成も困難であったため、目的の達成に遅れが生じた。しかし、現在、この問題は解決している。
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今後の研究の推進方策 |
1)KCNXのタンパク質レベルでの脳内局在と神経細胞ない局在を詳細に明らかにする。GFP-KCNXノックインマウスにおいて海馬シナプス領域に発現することを確認しているが、脳の他の領域についても明らかにするとともに、電子顕微鏡レベルでシナプスに局在するのかどうか検討する。さらには発生段階における局在も明らかにする。 2)電位依存的にKCNXが細胞接着活性を示すのかどうかを検討する。KCNXを恒常的に発現する線維芽細胞を用いて、いつどのようにしてKCNXは細胞接着活性を発揮するのかを明らかにする。 3)シナプス形成におけるKCNXの役割を明らかにする。KCNXを恒常的に発現する線維芽細胞と初代培養神経細胞の共培養によって、人工シナプスが形成されるかどうかを検討する。さらにはその形成過程が活動電位や細胞外シグナルに依存するものであるかどうかを検討する。 4)KCNXノックアウトマウスの形態学的解析を行う。標準的な中枢神経系の形態学的解析のみならず、神経軸索の走行も解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行のために必要な物品購入において、年度末に購入したものが割引価格で納品されたため。また、研究遂行に必要な物品などで1126円で処理可能のものがなかったため。 次年度に購入予定の物品費の一部に当て、研究遂行に必要な物品購入に当てる。
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