研究課題
本研究では神経活動に依存したシナプス形成の分子メカニズムを解明することを最終目標として、申請者が新たに細胞接着活性を持つ分子として見出した電位依存性カリウムチャネル、KCNXのシナプス形成における役割を明らかにすることを目的とした。まず、KCNXの詳細な発現時期や局在部位を組織や培養神経細胞を用いて、免疫電顕により解析するために、さまざまな抗体を作成し、検討したが、特異的な抗体が作成できず、内在性KCNX の局在を明らかにすることはできなかった。そのため、GFP-KCNXノックインマウスを作成し、抗GFP抗体による免疫染色を行い、外来性のKCNXの局在を検討したところ、海馬CA3領域透明層(歯状回顆粒細胞軸索がシナプスを形成する領域)に発現することを確認した。現在、電子顕微鏡レベルでの局在解析を進めているところである。次に、KCNXを恒常的に発現する線維芽細胞を用いて、KCNXに依存した弱い細胞間相互作用を検出できるアッセイを構築し、KCNXによる細胞間相互作用がその細胞外領域に依存し、ホモフィリックな活性であることを確認した。また、KCNXの機能を解明するために、KCNX結合蛋白質を探索し、微小管関連タンパク質CLIP115とエンドサイトーシス関連タンパク質Dynaminを同定した。これらのことから、KCNXはイオンチャネルとして機能するのみならず細胞骨格や小胞輸送にも関与することが示唆された。現在、その詳細なメカニズムの解析を進めている。さらには、現在、KCNXノックアウトマウスにおける、脳の形態学的解析を行っているところである。
すべて 2014
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