大脳皮質を構成する神経細胞には大きく分けて、興奮性神経細胞と抑制性神経細胞があります。この2種の神経細胞は、完全に比率を維持しなければ、適切な神経活動は維持できません。ずれれば、鬱になり、又はてんかん状態に陥ります。 それゆえ、大脳皮質には、絶えずその比率を維持する分子メカニズムが存在していることが想定されます。その分子メカニズムの実態は、これまで知られていませんでしたが、様々な細胞増殖因子がかかわっていることが推定されるような現象が見られました。 そのような現象に関わる分子の一つとして、Activin Aがあります。Activin Aは興奮性神経細胞により分泌され、抑制性神経細胞の前駆細胞の増殖を進めます。 このような、現象を証明するために、GAD67-GFPマウスの胎児から、FACSにより抑制性神経前駆細胞を採取し、Activin Aの有無で、核へのBrdUの取り込みを調べたところ、細胞増殖は、Activin Aの濃度により、細胞増殖が調節されることが分かりました。 それゆえ、同現象は、我々に抑制性神経をより多量に産生する際に、重要な手法を与えてくれます。そして、人の抑制性神経前駆細胞を多量に準備することができれば、癲癇症等の脳機能不全を回復させる治療が可能になる可能性があります。
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