研究概要 |
1. Zic2条件変異マウスを用いた扁桃体海馬野を欠損するマウスの攻撃行動の解析。 これまでに大脳皮質、海馬、扁桃体の一部でZic2を欠く個体(Zic2外套条件変異ホモ個体)の恐怖条件づけ行動を開始した。同時にこれらの個体を用いて扁桃体海馬野のZic陽性細胞に関する組織学的解析、分子マーカー解析を行った。その結果、扁桃体海馬野における有意な形態の変化が観察され、Zic2がこの領域の発生に重要な役割を示すことが明らかになった。神経回路レベルでどのような異常が起きているのかを明らかにするために、異動先の長崎大学でで新たなマウスのコロニーを起ち上げる作業を進めている。 2. Zic2分解促進因子欠損マウスとZic2発現低下マウスを組み合わせた場合のZic2発現レベルと扁桃体海馬野のサイズと攻撃性の変化。 これまでの申請者らの研究グループでの解析から、Zic2を分解するE3ユビキチンリガーゼRinesが同定されている(Ogawa et al., Genes to Cells, 2008)。Rines欠損マウスの解析を進めた結果、Rinesが情動行動の制御に重要な役割を持つことが明らかになった(Kabayama et al., J. Neurosci. 2013)。特に親和性社会行動が増強し、攻撃行動が減弱する傾向が認められたことはZic2発現低下マウスに認められた攻撃行動の増強(Hatayama et al., Sci. Rep. 2011)とも併せて、非常に興味深い結果であると考えられた。
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