(1)alpha-synucleinリコンビナントタンパクの精製については、まず6Xヒスチジンタグと融合させたalpha-synucleinの大腸菌発現用ベクターを作製した後、大腸菌に遺伝子導入し、発現を誘導した後、6Xヒスチジンタグに結合するカラムを用いて、Fast Protein Liquid Chromatography(FPLC)により、目的のalpha-synucleinタンパク質を精製した。その後タグの与える影響を測定するため、タグを除去した。精製したalpha-synucleinリコンビナントタンパクの2次構造解析をCD (circular dichroism:円二色性スペクトル)を用いて行い、alpha-synucleinリコンビナントタンパクがrandom coil様の構造をとっていることを確認した。 (2)次にRT-QUIC法(シード依存的異常凝集タンパク高感度増幅法)の確立と形成されたアミロイドフィブリルの構造解析では(1)で精製したalpha-synucleinリコンビナントタンパクを用いてRT-QUIC法(シード依存的異常凝集タンパク高感度増幅法)の条件検討を行った。その結果、シードなしでは反応が起きないが、シードとしてレビー小体型認知症(DLB)の脳組織のホモジネートとして加えたときのみ、反応が起きる条件を見出した。また電子顕微鏡を用いてRT-QUIC法において生成したフィブリルを観察した。さらにレビー小体型認知症の脳ホモジネート中のalpha-synuclein凝集体のシード活性をRT-QUIC法とEndo-point dilutionを組み合わせることにより半定量することにも成功し、びまん型DLB中のalpha-synuclein 凝集体の50% seeding dose (SD50)の値が107-8/g brainであり、移行型DLBでは105/g brainことを明らかにした。
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