研究課題
超高齢社会を向えた我が国においては、アルツハイマー病(AD)やパーキンソン病(PD)などの神経変性疾患の頻度は、年々増加の一途を辿り、その莫大な医療費は大きな社会問題となっている。これにの多くの研究にもかかわらず、現状では、根治療法は存在しない。我々は、抗糖尿病作用、抗炎症作用を持つことで知られるアディポネクチン(APN)が神経変性の抑制に重要であり、APNのloss of function が 神経変性の進行に関与しており、APNの作用を補うことが治療に通じるのではないかと考え、この仮説の証明を細胞、マウスの実験系でこころみた検討した。その結果、PDやレビー小体型認知症などのシヌクレイノパチーのモデルであるαシヌクレイン(αS)発現神経芽細胞、トランスジェニック(tg)マウスにおいて、リコンビナントAPNの鼻腔投与がαSの凝集・蓄積を抑制し、マウスの運動能力の低下を抑制するなど、組織・行動のいずれにおいても神経変性所見の改善に有効であることを見出した。これまでの臨床治験の結果から、ADやPDなどの神経変性疾患のdisease modifying therapyには早期治療が不可欠であり、場合によっては何十年にも及ぶ予防治療を想定しなければならないことが言われているが、このことを考慮すれば、簡便な治療法が望ましいことは明らかである。この意味でAPNの鼻腔投与法は、ポテンシャルの高い方法であると言えるだろう。
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Journal of Alzheimer's Disease
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Biomolecules
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http://www.igakuken.or.jp/parkinson/