最近、神経変性の病態に糖代謝障害が伴うことが注目されている。我々は、抗糖尿病作用をもつことで知られるアディポネクチンの発現や作用を、剖検脳、細胞モデル、マウスモデルを用いて検討した。その結果、パーキンソン病やレビー小体型認知症の剖検脳においては、APNがレビー小体に蓄積しており、αシヌクレイン発現神経芽細胞においては、APNは、αシヌクレインの凝集をAdipoRI-AMPキナーゼ系路依存的に抑制し、さらに、αシヌクレイントランスジェニックマウスにおいては、αシヌクレイン凝集などの病理像、運動試験の改善が観察された。これらの結果は、アディポネクチンが治療のポテンシャルを持つことを示唆している。
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