研究課題/領域番号 |
25640032
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
河崎 洋志 金沢大学, 脳・肝インターフェースメディシン研究センター, 教授 (50303904)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脳・神経 |
研究概要 |
「出生」は哺乳類の一生で最も劇的な環境変化である。従って、出生が脳神経系の発達に多大な影響を与えることは想像に難くないが、出生の脳神経系形成過程における生理的重要性は不明な点が多い。これまでに我々はマウスの大脳皮質を用いて、出生により発現制御される遺伝子のスクリーニングを行ったところ、大脳皮質神経細胞においてSox型転写因子の発現量が出生を契機として減少することを見出した。そこで本研究課題では出生→Sox発現低下→神経細胞成熟というカスケードがあるとの仮説を立て検討している。即ち、Sox型転写因子の発現低下の神経細胞成熟における機能的重要性を形態レベル及び分子レベルで検討を行っている。具体的には、Soxノックアウトマウスの大脳皮質神経細胞の成熟過程を検討したところ、神経細胞成熟マーカーの発現が亢進していることを見いだし、未成熟神経細胞マーカーの発現が低下していた。この結果は、Sox発現低下が大脳皮質神経細胞の成熟に十分であることを示唆している。逆にSox型転写因子を過剰発現させたところ、未成熟神経細胞マーカーの発現が亢進し、成熟神経細胞マーカーが低下していたことから、神経細胞の成熟に必要であることが示唆された。さらにマーカーだけではなく神経細胞の形態的な成熟を検討するために、まばらな大脳皮質神経細胞においてGFPを発現させたところ、形態的な成熟もSox型転写因子過剰発現により抑制されていることを見いだした。これらの結果は、Sox型転写因子が神経細胞の成熟を制御する重要な転写因子であることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに出生後に発現減少する転写因子を見いだし、神経細胞成熟における機能的重要性を見いだすなど、機能解析を順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
神経細胞の成熟におけるSox型転写因子の重要性を分子マーカー、神経細胞形態、生理学的解析など多角的に行うことにより明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
Sox型転写因子に対するshRNAなどの実験条件検討が順調に進んただめに、研究費の使用が当初の予想よりも少なくすることが可能となった。そこで次年度以降の機能解析に研究費を充当する方が、研究成果に繋がると判断した。 消耗品としては、実験動物、抗体、分子生物学的キット、プラスチック器具などの購入に充てる。学会発表の旅費、英文校正などの謝金に充てる。
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