マイクロRNAは成熟脳に豊富に発現しているが、その機能に関する知見は極めて限定的である。本研究はコカインによって誘導されるマイクロRNAによる情動制御の分子基盤をマウス個体レベルで明らかにすることを目的とした。当該マイクロRNAの欠損マウスに、報酬系以外にも、情動系や鬱様行動の異常が見られることを明らかにした。その分子基盤の1つとしてRhoキナーゼが関与することを見いだした。またマイクロRNA自身の発現制御にSrc型チロシンキナーゼやインテグリン受容体シグナルが関与することを見いだした。本研究によって、未知な部分が多いマイクロRNAによる情動制御の分子機構の一端を明らかにすることができた。
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