研究課題
神経伝達の主たる過程は神経伝達物質の放出によって行われている。神経伝達物質は、シナプス小胞が幾つもの連続した素過程を経て、シナプス前膜に超高速で膜融合することで神経終末から放出される。これまで、私共は、SNARE系の活性制御タンパク質であるトモシンがCa2+センサータンパク質シナプトタグミンと結合することにより,シナプトタグミンの膜変形活性を阻害し,神経伝達物質の放出を抑制することを明らかにしている。本年度は、Reticulon familyの1つである膜変形タンパク質Arl6IP1に結合するタンパク質を探索し、以下の結果を得た。1)Arl6IP1に結合するタンパク質としてTMEM33を発見した。2)TMEM33は他のReticulon family分子(Reticulon-2B, -3C, -4C)と結合した。3)TMEM33がArl6IP1の膜変形活性を抑制した。これらのことから、Arl6IP1に結合する分子TMEM33の同定とその機能としてArl6IP1の膜変形活性に与える効果を明らかにした。このように本年度は、膜変形について当初の計画とおりの成果をあげることができた。
2: おおむね順調に進展している
Arl6IP1に結合する分子TMEM33の同定に成功したことより、おおむね順調に研究が進捗している。
TMEM33―Arl6IP1系による膜変形とSNARE系による膜融合の機能関係を明らかにする。得られた知見をもとに神経伝達物質の放出過程の特徴である超高速膜融合を再構成し、神経伝達物質放出の素過程の機能と構造およびその破綻に基づく神経疾患の分子メカニズムを解明する。
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