研究課題
挑戦的萌芽研究
これまでの研究で、ヒトES細胞(KhES1,2,3)、ヒトiPS細胞(201B7, 253G1)から神経幹細胞を誘導する過程においてゲノムタイリングアレイによる転写産物解析を行い、ヒトES/iPS細胞の神経分化に伴って発現が上昇する、非翻訳領域にある転写産物の中で、特に発現量が高く、神経系特異的であると考えられる転写産物52個を同定してきた。従来の神経分化誘導法において、定量的RT-PCRにより、未分化状態に比べて、神経分化誘導後にこの52個の転写産物の発現が上昇していることを確認してきたが、さらに新たに開発した単層培養による迅速神経分化誘導法においても、このうち40個の転写産物の発現上昇がみられることを定量的RT-PCRにより確認した。そこで、これら40個の転写産物を初期の神経発生に重要なncRNAの候補として解析に用いることとした。そこで、ヒトES細胞を単一細胞まで解離した段階で、これら約40個のターゲットに対するsiRNAをリポフェクション法、あるいはエレクトロポレーション法により導入したうえで迅速神経分化誘導を行い、siRNA導入後6日目に定量的RT-PCRにより、神経幹細胞マーカーであるhSOX1の発現解析を行っている。現在、神経分化の抑制効果(SOX1の発現抑制)を指標に、各店者産物がヒトES細胞の神経分化に与える影響を解析している。
2: おおむね順調に進展している
単層培養による迅速神経分化誘導法における各転写産物の発現を確認することで、ターゲットとなる転写産物を絞り込むことができた。siRNAの導入によるスクリーニングを行っており、いくつか神経分化の抑制効果がみられるものもあるが、結果にばらつきがあり、さらに検証を必要とする。
絞り込んだ40個の転写産物に対するsiRNAを用いて、迅速神経分化誘導法を用いたスクリーニングを続行する。高効率に神経分化の抑制がみられた転写産物については、複数のsiRNA、あるいはshRNA, miRNAによる長期抑制を行い、同定された転写産物のValidationを行う予定である。
効率的な物品調達が可能であったため、当初の予定に比べて、少ない量の物品費で研究の遂行が可能であったため。次年度は、さらにスクリーニングを行うため、当初予定していたよりも多くの培養等の実験を必要とすると考えられ、必要となる消耗品の購入に充てる予定である。
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