研究課題
挑戦的萌芽研究
これまでに樹状細胞におけるDock8に機能解析を行ってきた。トリ卵白アルブミン(OVA)特異的 T 細胞受容体トランスジェニックマウス(OT-II マウス)由来のリンパ球と、OVAを取り込ませたWTまたはDock8 KO/Tgマウス由来の樹状細胞との共培養による抗原提示実験を行い、Dock8が抗原提示能に与える影響を検討した。その結果、Dock8 KOマウス由来の樹状細胞では抗原提示能が低下していることが明らかとなった。一方、Dock8 Tg由来の樹状細胞においては、抗原提示能の顕著な変化は認められなかった。以上の結果よりDock8はT細胞の分化・増殖だけでなく、樹状細胞の機能にも重要な役割を持つことが示された。一方、Dock8 KOおよびDock8 Tgマウスを利用してmyelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)ペプチドを用いた実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalomyelitis: EAE)を作製し、視神経炎の病態を観察した。野生型マウスと比較したところ、Dock8 KOおよびDock8 Tgマウスのいずれも脱髄の軽症化を確認した。さらに同一個体における視機能の経時的変化について多局所網膜電位測定を利用して評価した結果、予想通りDock8 KOおよびDock8 Tgの両マウスでは視機能が維持されていることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
樹状細胞おけるDock8の機能解析が順調に進行しているため。また、複数の遺伝子改変動物の飼育繁殖にも特に問題はなく、これらの動物を用いた実験も順調に進行しているため。
現在の方針で予定通り実験を継続する。今後の研究費は実験遂行に必要な物品費として活用するとともに、研究成果の発表に向けた国内外の学会参加,また国際雑誌への投稿のための英文校閲等として活用する予定である。
実験等に使用する消耗品の共有化などにより経費削減に努めたため。消耗品等の使用に予定。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Cell Death and Differentiation
巻: 20 ページ: 1250-1256
10.1038/cdd.2013.91.
Molecular Brain
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http://www.igakuken.or.jp