研究課題
近年に新たなGEFとして発見されたDockファミリー分子は様々な臓器や細胞に発現しており喘息、がん、アルツハイマー病、注意欠陥・多動性障害など、多様な疾患に関与する。本研究ではDockファミリー分子であるDock3やDock8が脱髄疾患に与える影響について検討を行なった。Dock3は神経保護や視神経再生の促進に寄与することが明らかとなっているが、髄鞘を形成するオリゴデンドログリアにおける機能は不明であった。申請者らは初めてDock3がオリゴデンドログリアに発現していることを見出しており、Dock3によるオリゴデンドログリア保護効果の可能性について解析を行なった。Dock3を過剰発現するマウス(Dock3 Tg)に、銅キレート剤であるcuprizoneを用いて脱髄を誘発した後、残存する髄鞘の量を測定し野生型マウスと比較検討した。その結果、Dock3 Tgマウスでは、脱髄障害が軽減しており髄鞘がより多く残存していることが判明した。Dock3 Tgマウスのオリゴデンドロサイトでは、Dock3の活性化因子であるElmoの発現が増強されていることがwestern blotや免疫組織染色により判明している。さらに、MAPキナーゼであるERKの活性が野生型マウスに比べて増大していることが明らかとなった(Namekata et al. Cell Death and Disease 2014, 28;5:e1395.)。これらのことからDock3の過剰発現はERK活性を介して髄鞘の保護に関与する可能性が示された。一方、これまでの解析からDock8も脱髄疾患モデルであるExperimental autoimmune encephalomyelitis (EAE)の軽減に関与することを見出しており、今後はDockファミリー分子を利用した脱髄疾患の治療応用に期待したい。
抗てんかん薬から緑内障治療へ ~バルプロ酸の神経保護作用メカニズムの解明~http://www.igakuken.or.jp/retina/topics/topics7.html
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 10件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Cell Death and Disease
巻: 6 ページ: e1720
10.1038/cddis.2015.93.
American Journal of Pathology
巻: 185 ページ: 756-764
10.1016/j.ajpath.2014.11.005.
Neuroscience Letters
巻: 592 ページ: 27-31
10.1016/j.neulet.2015.02.059.
巻: 588 ページ: 108-113
10.1016/j.neulet.2014.12.054.
Journal of Diabetes and its Complications
巻: 29 ページ: 275-281
10.1016/j.jdiacomp.2014.10.010.
巻: 6 ページ: e1963
doi:10.1038/cddis.2015.45
巻: 5 ページ: e1395
doi: 10.1038/cddis.2014.357.
巻: 5 ページ: e1341
10.1038/cddis.2014.306.
巻: 5 ページ: e1333
10.1038/cddis.2014.296.
巻: 581 ページ: 89-93
10.1016/j.neulet.2014.08.034.
Progress in Retinal and Eye Research
巻: 43 ページ: 1-16
10.1016/j.preteyeres.2014.06.005.