本研究ではDock3と呼ばれるタンパクが、神経炎症を引き起こす多発性硬化症などの脱髄疾患に与える影響について検討を行なった。Dock3は網膜において神経保護効果を示すことは明らかとなっていたが、髄鞘を形成するオリゴデンドロサイトの保護効果については不明であった。そこで、Dock3過剰発現(Dock3 Tg)マウスを活用して薬剤誘発急性脱髄モデルを作製したところ、野生型マウスと比較して脱髄症状が緩和されていることが確認された。この結果は、Dock3によるオリゴデンドロサイトの保護を示唆しており、今後は神経炎症による脱髄への治療応用に興味がもたれる。
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