研究課題/領域番号 |
25640045
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 宗裕 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70177096)
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研究分担者 |
外丸 祐介 広島大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90309352)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ニホンザル / 一卵性多子 / 受精卵クローン / 受精卵分割 |
研究概要 |
サル類はヒトに近縁であることから、ヒトのモデル動物として有用な実験動物である。しかし、遺伝的に均一な集団、いわゆる近交系コロニーが存在しないため、個体によるばらつきが大きいことがウイークポイントとなっている。申請者らの研究の最終目標は、効率的かつ安定的な遺伝的相同サル作製システムを構築することである。本研究課題では、他の実験動物や家畜で実績のある受精卵分割ならびに受精卵クローンの手法をニホンザル用に改良・至適化し、ニホンザル一卵性複数子を作成することを目的としている。 我々は、これまでに生殖工学技術を駆使した哺乳類実験動物の作製・開発に取組んできた。研究分担社の外丸は、近年マーモセットおける発生工学技術の開発ならびにクローン技術の応用に取組んでおり、卵子の採取や体外培養等の生殖工学基盤技術を構築するとともに、世界初の受精卵クローンマーモセットの作製に成功している。そこでこの度の研究では、これまでのマーモセットにおける知見をニホンザルに応用し実験を遂行することで、受精卵分割および受精卵クローン技術による一卵性複数子作製の手段を検討し、動物実験に有用な遺伝学的相同ニホンザルの作製を目指している。 H25年度は、ホルモン投与により卵巣刺激処置を施した雌ニホンザルより卵胞卵子を採取するため、ホルモンの種類、投与量、投与期間等を検討した。また、採取した卵を体外成熟させるための条件、その後の卵の培養方法等を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホルモン投与により卵巣刺激処置を施した雌ニホンザルより卵胞卵子を採取するため、ホルモンの種類、投与量、投与期間等を検討した結果、安定して卵を採取できる方法がほぼ確立された。また、体外受精および顕微授精を試み、どちらの方法においても受精卵を得ることに成功した。その後の培養法も、ほぼ確率しており、体外で胚盤胞までの培養が可能となった。受精卵分割においては、ニホンザルの場合4細胞期までの分割が可能であり、分割したそれぞれの卵球細胞から胚盤包まで発生させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度において、4分割卵から胚盤胞まで発生させることができることが確認されている。そこで、H26年度は受精卵分割の手技を確立すると共に、それらの卵をレシピエント雌ニホンザルに移植することにより、一卵性多子の作製を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度当初は、受精卵操作用の顕微鏡に付属する消耗品の購入が必要と考えていたが、別の予算で購入できたため、次年度の使用が可能となった。また、広島大学と霊長類研究所間の移動の旅費に関して、霊長類研究所の共同利用・共同研究を実施する際に同時に実験を実施したため、当該費用での移動回数が減じたため。 ニホンザルは、季節繁殖動物であるため、H25年度は、繁殖期である冬期に実験を実施した。しかし、実験動物として安定した供給を実施するためには、夏期の採卵と受精卵の凍結保存が必須となる。そこで、今年度は、夏期にも実験を実施する。 得られた受精卵については4分割卵からの体外培養をおこない、胚盤胞まで発育したものは、レシピエント雌ニホンザルに移植し、一卵性多子個体の作製を行う。
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