研究課題/領域番号 |
25640047
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
八木 健 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10241241)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 進化 / 突然変異 / マウス / 哺乳類 / DNAポリメラーゼ |
研究概要 |
生物進化の過程にはDNA複製エラーによる変異蓄積が大きな原動力となっていることが示唆されている。進化のメカニズムを理解するには、世代ごとに変化する過程を微分的に解析できることが理想であるが、実際の進化を解析する為には莫大な時間が必要となり、世代時間の長い哺乳類などを対象とした研究は、これまで存在していない。 本研究では、この進化の原動力であるDNA複製時エラーによる変異発生頻度をDNAポリメラーゼδの校正活性を操作することにより上昇させ、変異蓄積速度を加速させることで、哺乳類において進化過程の微分的な解析を可能にする新たな実験モデル系の開発を進めてきた。その結果これまでに、40種類を超える形態・行動に異常がある変異マウスを得るとともに、量的形質のばらつきが拡大したマウス系統を得、次世代シーケンサーによる全ゲノム解析により3,000を超える突然変異の蓄積の確認に成功した。更に、突然「小鳥のように鳴くマウス」が得られ、マウス間のコミュニケーションに関わる種分化がおこる解析も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究のような哺乳類を用いた変異蓄積実験はこれまでに例がなく、高い独創性によるものであると自負している。本年度は新型シークエンサーによる変異蓄積マウスでの全ゲノム解析により、3,000を超える変異の蓄積があることが明らかとなった。また、正常の野生型マウスの交配による突然変異率も明らかになり、ヒト集団における変異蓄積を捉える上でも優れたモデル系であることが明らかとなった。これらの解析は、この1年で急速に進んだ結果であり、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝的変異蓄積による効果を明らかにする新たなマウス系であることが明らかとなり、本年度はこの実績を論文として発表する。また、変異蓄積マウスを利用した新たなヒト疾患モデル作製系を開発して、複数の変異による表現型の効果を明らかにする。これにより哺乳類を用いてエピスタシスを遺伝学的に解析する新たな系ができると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画通りに物品等の購入を行ったが、残高が生じた。 残金についても加味して、次年度の使用計画をたてる。
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