●扁平上皮癌で発現が亢進しているTSC22D4/THG-1が、がんの発生・進展を促進する機序を解析することを目的として、TSC22D4/THG-1に結合する分子をTSC22D4/THG-1と共沈する分子のTOF-MAF解析で同定した。 ●TSC22D4/THG-1結合タンパク質の機能解析を行い、発がんに関わるTSC22D4/TGF-1の下流分子を複数同定した。これらの中には、がん細胞に特異的な代謝特性を誘導し細胞増殖促進に関与するもの、がん細胞の遊走能亢進に関与するもの、がん間質における血管新生を誘導するもの、がん幹細胞活性に関与するものなどがあり、いずれも今後さらに解析を進め、特許申請と原著論文としての発表を行なうことが期待される成果が蓄積されている。これらの下流分子と結合するTSC22D4/THG-1内のドメインの同定も進められており、がん細胞の代謝変化を誘導する転写因子の制御因子、がん細胞の遊走能亢進に関わる分子の発現制御に関わる因子の結合が失われる点変異体の作製に成功している。今後、これらの下流因子の結合を抑制する分子の作製を行なうことで、新たな扁平上皮癌治療方法が確立されると期待される。 ●TSC22D4/THG-1と下流シグナル分子群のタンパク質間相互作用をブロックする特殊環状ペプチドを作製することを目的として、TSC22D4/THG1に特異的に結合する特殊環状ペプチドをスクリーニングするための準備を開始した。 ●TSC22D4/THG-1ノックアウトマウスの皮膚において、表皮の生理的再生回転の低下と表皮下毛細血管網の血管密度の低下が認められた。
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