我々はヒストン脱メチル化酵素Kdm2b の造血幹細胞における過剰発現が白血病発症を誘導することを見いだし、Kdm2b高発現造血幹細胞では酸化的リン酸化経路が活性化していることを見いだした。本研究では、Kdm2bは、1)酸化的リン酸化関連遺伝子に直接結合し発現を上昇させていること、2)S期の細胞周期を有意に亢進させているがG0→G1への移行については関与していないこと、3)ATP産生を上昇させるがROS産生には影響しないこと、を明らかとした。我々の結果は、酸化的リン酸化経路の亢進による白血病発症機構にエネルギー代謝の見地から新しい知見をもたらしたものと考えられる。
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