研究課題
癌転移は癌患者の死亡率の90%に起因するが、転移発症の予見や有効な治療は困難である。癌転移の分子機構も未だ明らかでない。また実験室内で転移性癌細胞を作り出すことも容易ではない。最近申請者の研究グループは、非転移性の培養乳癌細胞株と癌内線維芽細胞(Carcinoma-associated fibroblasts; CAFs)をマウスに共移植することにより、癌塊内でこの癌細胞をCAFsにより教育し、転移性癌細胞株を樹立することに成功した(未発表)。研究をさらに発展させる為に、申請者は、手術後に摘出される患者由来乳癌組織断片をCAFsとマウスに共移植し、移植された乳癌細胞を抽出することにより、患者由来転移性乳癌細胞を樹立する予定である。この細胞を使用し、癌転移に関連した遺伝子シグナルネットワークを解明し、患者個別化乳癌の転移モデルマウスも作製し癌転移治療に役立てることを目的とした。共同研究者のDr Eva Gonzalez Suarez, Institut d'Investigació Biomédica de Bellvitge-IDIBELL Hospital Duran i Reynals Avinguda Gran Via de l'Hospitalet, Spain) より2例の患者乳癌組織のNOGマウスへの移植および新たなマウスへの継代に成功した。10例の乳癌患者癌細胞のNOGマウスへの移植を試みたが癌塊の増殖は見られなかった。CAFsとの共移植実験が2例の患者乳癌を使用し行なわれたが、既に使用された癌細胞の転移能が亢進していたことにより有意な転移への影響は観察されなかった。今後はマウスでの継代数の少ない低転移性の患者癌を使用して実験を遂行する予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (5件) 備考 (1件)
Oncogene
巻: 11 ページ: 10
BMC Cancer,
巻: 19 ページ: 737
http://ganshien.umin.jp/research/main/orimo/index.html