研究課題/領域番号 |
25640076
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柳澤 聖 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20372112)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肺癌 / プロテオミクス / 翻訳語修飾 |
研究概要 |
本研究課題では、最新のプロテオミクス技術を応用し、肺癌組織中の翻訳後修飾タンパク質発現情報を網羅的に解析し、詳細な臨床情報とともに、バイオインフォマティクス技術を最大限に活用する事によって、病態と深く関連する翻訳後修飾タンパク質群を抽出を目指している。 本年度は、最新の網羅的且つ定量的なプロテオミクス解析手法を用いて肺組織中に存在する翻訳後修飾タンパク質発現情報の網羅的集積を進めた。酵素消化後の非放射性安定同位体ペプチド標識技術と質量分析装置を組み合わせ、多次元液体クロマトグラフィーを駆使した徹底的な分画化を併用し、150検体を超える肺がん組織に加えて、90検体の正常肺組織試料を対象として、タンパク質発現の網羅的比較定量解析を推進、肺組織中に存在する翻訳後修飾ペプチド情報の全体像把握を目指した。当該解析の結果から、全ての試料について1検体あたり3,000種類以上のタンパク質が検出されることが確認された。総数250検体を超える肺組織試料からは、10、000種類以上のタンパク質が同定されるとともに、300、000種類以上のペプチドが同定された。これらのペプチドの中で、翻訳語修飾を受けたペプチドに関しては30、000種類以上検出されることが明らかとなっている。以上の検討から取得された発現情報に基づいて、詳細な臨床情報を活用したバイオインフォマティクス解析を進めた結果、肺癌手術後の予後との関連性が示唆されるタンパク質群を500種類以上同定することに成功している。今後は、これらのタンパク質の翻訳語修飾に着目した解析技術の開発を進める計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌組織試料を対象とした網羅的なタンパク質発現解析を完了し、バイオインフォマティクス解析を行う基盤情報を取得することが出来た。さらには、肺癌症例の手術後の予後と関連の深いタンパク質群を抽出することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的である、翻訳語修飾を検出可能な解析技術の開発を進めるとともに、肺癌診療に革新をもたらす診断技術の開発基盤構築を目指していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
肺癌術後予後と関連する特徴抽出に時間を要したため、翻訳後修飾解析を行う対象タンパク質の絞り込みが完了せず、次年度に施行の計画となったため。 肺組織中に存在するタンパク質の翻訳後修飾情報を網羅的に取得することが出来たため、次年度より、その精密定量解析法の開発に着手する。 すでに、肺癌予後と関連の深いタンパク質の絞り込みを完了していることから、これらを対象とした革新的な肺癌術後予後診断法の開発を進めていく計画である。
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