研究課題
本研究は、最新のプロテオミクス技術を用いた網羅的タンパク発現解析と、バイオインフォマティクス技術を最大限に活用した解析により、タンパク質活性制御の根幹をなす翻訳後修飾の精密定量法の開発に加えて、極めて予後不良な肺癌症例の飛躍的な生存率向上の実現に貢献する翻訳後修飾シグネチャの同定を目指し、既存の検査法とは全く異なる次世代型高精度分子診断法の確立を目指している。前年度までに行った網羅的かつ定量的なタンパク質発現解析と術後再発期間を含む詳細な臨床情報を基盤としたバイオインフォマティクス解析の結果、肺癌の術後再発期間と有意な関連性が認められるタンパク質を800種類以上同定するに至っていた。さらには、これらの肺癌術後予後関連タンパク質の中でも、診断的な有用性・優位性が極めて高い4種類のタンパクを見出すと共に、当該分子を対象とする精密定量解析系を構築していた。本年度は、これらの解析を駆使することにより、肺癌手術摘出組織検体を用いた当該分子の発現解析を進め、術後再発期間の精密予測法の確立を目指した。肺癌手術症例を、術後5年以内に再発が確認された症例群と5年以上の術後観察期間中に再発もしくは原病による死亡が認められなかった症例群の2群に分け、両群間における当該分子群の発現差を検討した結果、有意な差を確認する事が出来た。以上の結果は、本研究課題で検討を進めた解析法が、新たな肺癌分子診断法の開発に繋がる可能性を示唆するものと期待される。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Oncogene
巻: 524 ページ: 1-9
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Scientific Report
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