研究課題
本研究は癌化の過程で生じるDNAメチル現象の普遍性と、その生理的・病理的意義を明らかにすることを目的とした。初めに現在公共データベースとして利用可能なゲノムワイドなメチル化データをできる限り多く収集し、自施設に蓄積しているメチル化データと合わせ、その統合解析を行うためのプラットフォームの構築を行った。特にENCODEプロジェクトで公開されているRRBS(Reduced Representation Bisulfite Sequencing)データやTCGA(The Cancer Genome Atlas)で公開されているメチル化アレイデータ(Infinium Human Methylation 450k)を詳細に解析し、各種癌で普遍的にメチル化されている領域とそのゲノム上における分布様式を明らかにした。それらの解析結果をもとに、各種癌細胞株におけるエピゲノム状態を実際に検証した。正常組織から癌が発生し進展する過程において、普遍的にDNAメチル化を起こすような候補領域を同定することができた。それらの領域のゲノム構造的な特徴や近傍遺伝子の機能的特徴等も詳細に解析した。これら一連の解析結果から、この普遍的なDNAメチル化現象にはおそらくクロマチン高次構造の変化が関与しているものと推測した。次にこの仮説を検証するためのモデルとして正常上皮細胞の培養を試み、そのメチル化データや発現データを取得し解析を行った。現在は各種刺激や遺伝子導入によるメチル化の変化をスクリーニングするとともに、普遍的なDNAメチル化が生じる分子メカニズムやその生理的・病理的意義についての検証を進めている。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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