本研究は癌化の過程で生じるDNAメチル現象の普遍性と、その生理的・病理的意義を明らかにすることを目的とした。初めに公共データベースと自施設のデータを統合的に解析し、各種癌で共通して高頻度にメチル化を認める領域を探索した。その解析結果をもとに、各種癌細胞株におけるメチル化状態を実際に検証し、癌化の過程で普遍的にDNAメチル化を生じる候補領域を同定した。そのゲノム上の分布様式の特徴から、この普遍的な現象にはクロマチン高次構造の変化が関与しているものと推測された。また同様の解析から、一部の癌で脱抑制のため発現亢進を認める33遺伝子を同定し、それらの臨床的・機能的意義についての検証作業を進めている。
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