研究課題/領域番号 |
25640090
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
恵口 豊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20243206)
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研究分担者 |
村上 善基 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00397556)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | iMIR / miR-16 / miR-122 / C型肝炎ウイルス |
研究概要 |
本研究では、miRNA活性を抑制する新規核酸分子iMIRの開発とその臨床応用の方法の確立を目指した。 本年度は、機能分子開発チームにおいて、miR-16, miR-21を標的としたiMIR分子の活性をルシフェラーゼレポーターシステムを用いて検討し、「Gly-Gly型 iMIR」と「テレフタル酸型 iMIR」に強い活性を確認した。このmiRNA抑制活性は、先行研究で機能が知られているLNAに匹敵する。天然物を重合した構造を持つiMIR分子が非天然物であるLNAなどの核酸分子に匹敵する活性を示したことは、今後の核酸医薬開発のプラットフォームとして非常に有望であることを示している。現在iMIRのリンカー部分あるいは末端部分を他のアミノ酸に変換し、そこに機能分子を結合した改良型iMIR分子を作成している。 ウイルス増殖研究チームでは、miR-122を標的としたiMIRのC型肝炎ウイルス増殖系への影響を検討し、RNA型の「Gly-Gly型 iMIR」と「テレフタル酸型 iMIR」に、細胞系でのC型肝炎ウイルス増殖を抑制する活性があることを見いだした。このウイルス増殖抑制能は、先行研究で用いられているLNAよりも強い活性を示しており、C型肝炎ウイルス感染に対する核酸医薬治療に利用できる可能性がある。またこのウイルス増殖抑制活性が自然免疫応答を介さないことを示し、iMIRに細胞増殖抑制能がないことも明らかにした。現在、この成果を記載した論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
核酸分子とアミノ酸をコンジュゲートした長鎖混合核酸であるiMIR分子が、核酸部分と相補的な配列を持つmiRNAの機能を抑制することを示すことができた。miR-16, miR-21の標的分子への影響を蛋白レベルで検討する必要があるが、次年度に行う予定である。iMIR分子の機能改善に向けた、アミノ酸置換とその部位への機能分子の付加を開始しており、プロジェクトは予定通り進行している。また、miR-122を標的としたiMIRが細胞系でのC型肝炎ウイルス増殖を抑制することを見いだした。この成果は、予定以上に進行している。一方、マウス腫瘍抑制効果の検討課題に関しては、順調にその準備を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、機能分子開発チームにおいて、miR-16, miR-21の標的分子への影響を蛋白レベルで検討し、実際にmiRNAの機能調節が細胞に与える影響を定量的に検討して、他のmiRNAに対するiMIRの設計アルゴリズムを構築する。またiMIR分子の機能改善に向けて、すでにアミノ酸置換とその部位に機能分子を付加した改良型iMIR分子を開発中で、これらの機能活性を検討する予定である。ウイルス増殖研究チームでは、強い活性を示したiMIR分子の機能向上を目指し、上記機能分子開発チームの解析で得られた情報を活用して、より活性の高いiMIR分子の解析を行う。発がん研究チームでは、現在準備中のmiR-133aに対するiMIRの制がん活性を、LNAと比較しながら検討したい。
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