研究課題
癌に対する抗原特異的免疫療法には、適切な癌抗原を標的とすることにより、副作用が少なく、かつ効果の高い治療法になる可能性がある。近年、癌抗原ペプチドを用いたワクチン療法の臨床試験が進められており、腫瘍ワクチンとして有用な抗原の同定が進んでいる。樹状細胞療法は、腫瘍抗原を用いたワクチンの効果を増強する手法として期待されるが、“患者の末梢血単球を単純に樹状細胞に分化させて治療に用いる“という既存の方法では、樹状細胞調整の不安定性および作成可能な樹状細胞の数が少ないことから医療技術としての確立およびさらなる普及は困難であると考えられる。特に、治療の対象となる悪性腫瘍患者では、化学療法等の影響もあり、末梢血単球が減少していて、十分な数の樹状細胞を調整できない場合が少なくない。本研究では、ヒトの末梢血単球に、cMYCとBMI1、さらに、BCL2あるいはLYL1の遺伝子を導入することにより、腫瘍化させることなく、増殖させる技術を開発した。そして、ヒト単球由来の増殖能力を有するミエロイド細胞をCD14-MLと命名した。CD14-MLは、樹状細胞への分化能力を保持したまま100倍から数千倍に増殖する。本研究の成果を実用化できれば、比較的少量の末梢血から樹状細胞を安定して大量生産することが可能になり、樹状細胞療法の普及に大きな貢献をなすものと期待される。
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Plos One
巻: 11 ページ: e0152384
doi:10.1371/journal.pone.0152384